December

もう7年前の26歳の12月だった、郵便局の年末期間アルバイトで働き出した。
彼氏の実家に居候していた時、警察沙汰な結末の末に向こうの親に引き離されて姉のうちに居候していた時だった。
倉庫のような場所で年賀状の仕分け作業を黙々とするのは楽しかった。
行きも帰りもコートのポケットに手を突っ込んで歩いてHeliosのEingyaというアルバムを聴いていたのを憶えている。
苦しくてたまらなかった時間、それが美しい想い出として蘇ってくる。
お酒をたらふく飲まないとこういう気持ちにもなれないが、酒を飲みさえすれば蘇るのなら、それは夢と同じだ。
姉が先日会ったときに言ったことを思い出す。お母さんもお父さんも向こうにいるから、同じところに行けるなら、いいかなぁ、って。
僕はそれを聞いて、複雑な気持ちになった。
ただ、僕は、どうなんだろうという気がした。
僕はお父さん、お母さん、お姉ちゃん、みんな居る場所に行けるのだろうかと思った。
僕はすべてが絶対死ねないと信じている。
永遠に彷徨い続けるしかないと信じている。
でも同じ場所で生きたいという願いがない、僕だけは遠ざかった場所に存在を願う。
わたし自身がわたしを許せないために、永遠に孤独でありたいと願う。
あの日は雪が降っていた。
あの日を憶えていない、その日に、確かに雪は降っていた。
水を帯びたとても冷たい雪だ。
私はわたしを嫌っていたその頭上に降ってきた雪だ。
それはもう形のない水でもない、どこにいったかわからない雪だ。





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