この世界

屠殺 地獄 死ぬまで地獄

俺は別に誰かのために傷つこうと思って傷ついてるわけじゃないよ。
傷つこうと思って傷ついてるんじゃなく、ただたんに苦しんでる誰かを見て自分は苦しいだけだよ。
俺が苦しいのも誰かが苦しいのも俺は別に好きじゃないから、そんな自分に酔ってるとは僕は思わないな。
酔うってのは気持ちいことだと僕は思うし、俺は精神的な苦しみには人は酔うことができると思うが、俺の言う地獄って結構肉体的な苦痛に最近寄ってるんだよね。
他者の肉体的苦痛を思って苦しいのは精神的苦痛でもあるけど同時に肉体的苦痛でもある。
俺は毎日自分の特になんでかわからないが足首が切断される苦痛に苦しめられる、のは屠殺場の映像を見てからなんだけどね。または自分の体が生きたまま機械でミンチにされていくイメージをしてしまう。
君は自分の足首が毎日切断されるイメージの中でその苦しみに酔えるか一度試してみてほしい。
俺は無理だな。毎日のことだけど。
鋭利な刃物で一気に自分の足首が切断されて切り落とされるところをいつも想像しながら足首を風呂で洗いながら酔えるなら君は変態だが、俺はそこまで変態じゃないみたいだ。
俺はただこの世界が公平でないと気がすまないんだよ。
だからすべての存在が同じ苦しみを経験して、同じ喜びを経験するような世界だと信じたいと思ってる。
つまりそれは恐ろしいことこの上ないが、君が肉を食う人であれ、食わない人であれ、牛や豚や鶏たちの苦痛を君自身がいつか経験するという世界ってことだよ。
想像しただけで縮み上がらないか。
でも実際この世界はどういう世界か誰も知らないんだ。
知らない以上、そういう世界かもしれないってことなんだ。
すべてが公平な世界とはそういう世界じゃないかと僕は思ったんだ。
誰かが誰より苦しんでるのは不公平だ。
誰かが誰かより喜んでるのは不公平だ。
いつか必ず誰もが同じ苦しみと喜びを知るならそれは公平だ。
俺はどうしてもみんなが幸せになってほしい。
不公平の中に幸せがあると感じられない。
あの子は僕より苦しんでるけど、僕ら全員幸せなんてありえない。
みんな同じ苦しみを経験するしかないんじゃないのか。
そう思ったら、もう酔うとかの次元ではなくなってくる。
死ぬまで地獄なんだ、みんなが幸福になるために。
僕はおかしいことを言ってると思う?
だとしたら君はこの世界はどうあればいいのか僕に教えてほしい。