スロオモウションだ

僕の言葉をチクリと刺したのは
まぎれもないあの棘のある石さ

正々堂々とその毒の正体をさらけだせ
シュールレアリスム?毒が愛おしいなんて
また空にマグリット飛んでる
飛んでもないよ

一番下はどこだ
この世に上も下もないよ
あるのはその目
眼球の裏が宇宙になってたなんて
心臓から送り込まれる血液の温度の変化
不純物が入りすぎた
氷を沸騰してまた即凍らせるんだ

僕の涙は死海以上にしょっぱくって
そんな涙を泳ぐ魚はいないと思ってたのに
びっくりした、僕の眼から魚が
そいつは僕をずっと見ていた
なにか訴えているような目だ
何が言いたいんだ、こいつは
めんどくさかったがわざわざ
海に連れてって逃がした
なのに、あいつ戻ってきやがった
しょうがないからそいつを食べた
他に方法がなかったんだ
でも焼いたり煮たりせずに生で食ったから
あいつは今もたぶん僕の中でのうのうと
くらしてるはずなんだ

宇宙を越えた鳥

僕の体の中に何があるんだろう
僕の心は何でできてるんだ
いつからこんなところにいるんだろう

僕は残さないべきですか

相槌を打った
宇宙に話した
僕の全ての悲しみを話した

覚えてるから忘れようとして
忘れたから思い出そうとして
なんなんだ、勝手なんだ
もうこの場所を置いて行くところなんてないんだよ
なのに逃げようとして戻る逃げては戻る
行って、帰る
帰る場所がここで
逃げる場所は向こうだ
僕を置いていった者はいないんだ
僕が置いて行く者がいて、置いてきぼりにしない
するもんか

ここから向かう場所はここだ
僕が空を見たら、空は僕になって
空が僕を見たら、僕は空になって
沢山の鳥たちを迎えた
僕が繋いだ糸をはずし宇宙まで飛んでいった鳥を
いつまでも見送っていた
宇宙さえもがあの鳥をずっとそばに置くことが叶わなかった
宇宙を突き抜けてその向こうへ飛んでいった

あの鳥は宇宙に果てがあることを知っていたんだ
でもいつの日かあの鳥は戻ってくるだろう
僕にはそれがわかるんだ
僕の鳥だったんだ
大切な大切な鳥だったんだ

僕の全てを許してくれた、たった一羽の鳥だったんだ

僕を置いて飛んで行かなくちゃならなかったあの鳥の気持を僕はいつか知ることができるだろうか