心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目には見えないのさ
なぁ、目に見えることは苦しみ、目には見えないことは、解放か、たくさん苦しんで解放される時の安堵がたまらないだろうな
心で見なくちゃ、ものごとはよく見えないってことさ。かんじんなことは、目には見えないのさ
きつねは友達がほしくて、王子さまに友達になって、といいます。そして友達になるにはどうしたらいいかきつねは王子さまに教えます。
「言葉は誤解のもとだよ。ただ毎日少しずつ少しずつ近くに座ればいいんだ。」
二人は友達になるけれど、別れがやってきます。
王子さまは自分の愛する薔薇の大切さがわかり、その薔薇のもとへ帰ることにしたから。
きつねは泣きます。王子さまは「ぼくは友達になろうなんていわなかった。君がいったんだよ。友達になっていいことなんてなかったじゃないか。君は泣くんだから。何もいいことなんてなかったじゃないか。」といいます。
きつねは「そう。ぼくは泣いてしまう。それでもぼくにはよかったんだ。だってほら、あの麦畑はこれまでぼくの毎日にはなんの意味もなかった。哀しいことだよ。でも、これからはあの麦畑をみれば君を思い出す。あの金色の麦畑をみたら、同じ金色の髪をした君を思い出す。そして麦畑のささやき声が大好きになるんだから。」
今日は父の命日です
あれから六年
私は、その六年という歳月の長さも短さも感じない、時が流れている感覚もない
でもそこにあったものは
ある時は、ただそれはそこにあってじっとその場から少しも動かない大きな石のようであった
ある時は、ただそれはふわふわと柔らかな風に流されるだけの小さく光る綿毛のようであった
ある時は、ただそれはざざ降りの冷たな雨にずっと打たれている死んだ小鳥のようであった
ある時は、ただそれは遠い遠い水平線にゆらゆら浮かぶ霞んだ幻の蜃気楼のようであった
ある時は、ただそれは知らない列車を一人薄暗いプラットフォームで待つ人のようであった
ある時は、ただそれは淡い夕雲のすきまから線を引いてきた飛行機雲の行方のようであった
ある時は、ただそれは失くした夢を求めて咲いて儚く枯れた小さな白花の少女のようであった
ある時は、ただそれは月のない晩に一人で寒い外で遊んでいる冷たい手の子供のようであった
六年の月日の間、それはただ願うことをやめなかった
再会して絶対に伝えなければいけないことがある
本当の本当に心から心からお父さんのことが好きで好きで大好きでずっとずっとずっと傍にいたかった
永訣の夜に、私はすべてを失くした
そして今までのすべてを受け取った
見えていたのに見ないふりをしていたもの、私はすべてを初めて与えられた
お父さんを失った後にすべてを与えられたのだから
それを殺してはいけない
私は私の中にあるそれを守り生き抜こう
僕死ななくっちゃ
君へ
僕を殺してくれてありがとう
小さく丸めたからだで音もなく泣いている
優しくて哀しい光が少しずつ注がれる君の中と僕の中に
エデンではなればなれにされた、あの温かい存在と
もうどこへも行けないの、あの人を悲しませてしまったから
傷つけてしまったから、海の底よりずっと深く、僕があの人をひとりにした
僕が君にできることは、そっと見守ること、そっと心の底で君が温かい場所へ行けるように願うこと
ううん、落とし入れよう、あの人を温かな場所へ、連れ込もう
冷たい場所へ上ろうとするあの人の足をつかみ、離してはいけない
あの人を困らせよう、傷つけよう、祈りだけで、冷たいほうへは行かせたくない
低くひどくよどんだ曇り空のエデンは美しい、君と僕が眠る場所、帰る場所
あの温かな世界から切り離された僕らが夢を見る、なんて美しい哀しい場所だったんだろう
追いつめる、あの存在もそう望んでいるはずだ、きっと、恐れは君を引き戻す
エデンに降り注ぐ雨は静かでそこにあった記憶をすべて消し去ってゆく
消え去ってゆくことを僕らに気付かせないまま、とても静かに
何かがこう言うだろう、もっともっと、と、僕の中にいる君をなだめよう
空はやがて暗くなってくる、真っ暗では何も見えないだろう、でも確かに向こうはエデンだ
とても寂しい場所、本来はそんな場所だったあれがエデンだ
向かうべき場所、僕らがまた戻りゆく場所
光の差さない樹に止まった鳥は小さく鳴いている
エデンを忘れられない、そんなエデンへあの人を一人にはおいとけない
僕は向かう準備を整えてゆく、君の眠る声だけを連れてゆく
小さな泉の中をのぞきこむとあの人が愛した僕は哀しい顔で微笑んだ
幸せになってくださいと言っといて、君が前に進もうとすることが憎くてたまらないのさ
でも君が苦しんでいることにも憎しみが沸いて来るよ
話し合い一つせずに終わらせた君が苦しんでいることが憎くて腹立たしくてたまらないのさ
嘘だろうと本当だろうと遊びだったんだと言ってくれたらよかったんだよ
そのほうが僕は救われた
君は僕を救うことを全くしなかったんだ
無言が一番つらいんだ
君はいい加減何かを発するべきだ
自分だけをそうやって守って生きて行きたいんか違うよな
僕は君のこと待ってるんだ
考えてる 僕が君を幸せにできる方法を
ほかの人を好きになるまでずっと考えてるんだ
さよならって言ったからってさよならなんかできるか
君との未来を僕はまだ捨てない、今日もまた眠れないんだ
僕が一番幸せだった時はさ
ほら、僕はあの音譜の石を夕焼け小焼け唄いながら跳んだあの時がすごく楽しかったよ
君が手を繋いでいてくれて
次行ったら君が跳んでみせて
僕は下から君を支えるから落ちないように
そんな危ないところ渡らなくていい
僕は君の全て許してる
君が君を許さないでどうするのさ
跳ぼう、止まった時間
今日はよく眠れたし、悪夢ももう見なくなった
ありがとう、感謝してる
でも目が覚めて、あの人の今の気持ち知ると愛憎がつらつらと湧いてきて苦しかった
頭の中で醜い言葉と醜い考えが溢れてくる
起きてコップ洗ってるとだんだん苦しみは消えてゆき
また愛しさが湧いてくる、穏やかな心になって
別物では、ないよな、愛と憎は、愛憎は一つの深い愛だ、それを受け入れる
いい子にしてたら、戻ってきてくれるんじゃないかって
いい子でいたら、ママは僕のところに戻ってきてまた微笑んでくれるんじゃないかって
僕が悪い子だったから、ママは嫌になって、遠くに行っちゃったんだって
子供の考えで、あの人を待っていた
待っている、その時間の中にいる人が待つ場所は
黄金色の夕陽が海全体に広がった眩しい温かい場所で
穏やかな光波に揺られている
悲しいから哀しいからいっそう輝いてるその場所で
待つことはね、喜び
あの時間が柔らかな眼差しで僕の場所へ帰ってくる
みんなの場所へ帰ってくる
眠れなくて苦しくて気が狂いそうで
救いの言葉探した
見つからなくてすごく苦しかった
したら、ふと今日あの子が言ってくれた言葉浮かんで
自分を愛そう
って
自分を愛する
その言葉が出て来ると不思議なほど気持ち落ち着いて来たよ
ありがとうね
自分嫌いだから苦しいんだね
抜け出せたよ本当に 脈拍も穏やかだ
不思議だな
愛された 今 僕は僕に
なんて温かいんだ
悲しみの涙が安らぎの涙に変わる
君も苦しい時は自分を愛してね
愛そうね
もう苦しまなくていいからね
眠ろうね
おやすみなさい
今日大好きな人にさよならのメールした
彼は「僕は一生孤独です」って前にゆうてたから
誰かと幸せになってくださいって送った
大嫌いだって私が言った時に彼がずっと悲しい目で私を見てた
あの目を思い出すとかわいそうでしかたない、あの時間に戻れるならな
儚い恋だったけど、本当にとても幸せだった
そして、僕は思ったんだ
幸せって過ぎ去った場所にしか存在しないんだって
振り返って、あの頃は幸せだったなぁって思えればそれでいいんだって
ってことは、つまり今もその幸せの中にいるんだ
そして今が過去になってゆく、その中でこの時間が
どれほど幸せだったのかって未来にはわかるんだ
悲しみや苦しみの通過地点に、今僕らみんないる、生きてるものもそうじゃないものも
そしてこれからものすごく大きな何かに向かってゆっくりと進んでいる
悲しみは通り過ごしてゆくだけ、でも喜びはずっとずっと残ってゆくんだよ
悲しみは雪のようにいつか溶けて、
喜びは雪の隙間からぴょこって顔を出す小さな可愛い芽のように、
生まれてくる何度も何度もね
何の為形を帯びてるの僕らこれから形忘れてゆくよ
凍てつき我を失う為に悲しみとゆうものが用意された
どこかのお伽話にあるように君は何かを勝ち取りたいだけなんだ
心の器に浸らしたものをすべて孤独な荒野へ帰しに行く
そこら中に散らばっている夢を吸い殻のように踏み潰した
君のこと考えるのがもう怖いから逃げたんだ擦り傷だらけ
行方が途中で終わった心に止まったままのたくさんの時計
あの青空はやっぱり不自然だな僕の心には曇り空がやっぱり一番落ち着くよ
音のないサイレンが僕等に届いていたから避難して正解だった
その器に水汲もうよ二度ともう涸れない水さ哀しみが飲む
喜びの残骸投げた空は君に痛々しい程青く染まった
かなわない想いを胸に抱えてさどこまで行こう無限の譜面
孤独から孤独に戻り安らいだ面持ちさげていってらっしゃい
休ませてあげたい君を可哀相きっと泣いてるひとりぼっちで
僕はあなたがわからない
あなたはまるでノアの箱舟のようなとてつもない大きな変化を僕に提示して去って行った
僕はあなたに向かって言った
どうして僕から去ったのです?
僕はあなたを引き留めはしなかった
引き留める手段を思い着かなかったんだ
あなたは太陽や月のようにいつも僕の傍にいて、僕を見ているのだと思っていたのに
あなたは何も知らないような目をするのですね
あの日あなたの涙を目にして僕は生まれて初めてあなたを憎んだ
あの涙は今まであなたが流して来た悲しみから溢れたものでなかった
あなたは喜びに溢れていた
それを見た僕は震え上がるほどの恐れを感じた
震える手であなたに縋り付きやめてくれと懇願した
するとあなたは見たことのない優しい微笑みを一瞬僕に交わしたのだ
僕はあの時愛しさのあまり殺意を覚えた
そんな絶望に打ちひしがれた僕の腕をするりと抜けてあなたは去って行った
戻っておいで、もう戻ってきていいんだよ、この世もあの世も嫌だと言うのなら僕が連れてくよ
五日前のことだった
ふいに景色が浮かんだんだ
僕の胸の中から透明な鳥が一羽飛んでいく光景だった
隣では、あの人が寝息をたてて寝ていた
携帯で打ったんだ、透明な、ってさ、そしたら、その次に、虹を、って出てきた
最近、そんな言葉携帯で打った覚えないのに
虹を、って押すと、次は、選んだ、ってでてきた
だから、僕は、そうか、透明な鳥は飛びだって行って透明な虹を選んだのかと思った
でも、その透明な鳥は記憶を持っていないから、僕が連れ戻すんだ
でも、記憶を持っていないから、また飛びだってゆく、そして透明な虹に止まる
その鳥が一体なんなのか、よくわからなかったんだ
でも、今わかったよ、あの鳥はあの人なんだって
もう会うこともできなくなった、あの人に違いない
あの人が隣で眠っているときにその光景が浮かんだのも、これを暗示していたんだね
透明な鳥だから、やっぱり透明な虹が落ち着くんだろう
僕は咎めたりしない、僕もやっぱり、同じ虹を選んだのだから
眠れない夜は短歌を詠みましょうね そしたら逢える
さみしいな夕焼けを今連れてきて悲しくなれば近付けるんだ
ぼくの声届きませんか青空にそれでも言うよほかにないから
きみが手を伸ばすのならば私から孤独絶望奪ってもいい
こんなこと言えた義理なの?太陽も球形のまま休憩するよ?
皆食べてしまったようだ 黒い鳥さかずきに合うとんでもないよ
忘れてねその言葉だけどうしても 記憶喪失するしかないか
かんがえるじぶんのことを かんがえるあなたのことを壊れてしまう?
喜べば勇気いらない自信ならものがたりにはたくさんあった
もうすぐさ君は覚めるの?まだ鳥も眠っているのにおいでよここへ
気にしない気にすることは君のこと誰かの涙かなえたいこと
僕もゆく だめなんですか?軌道から一番離れ君は微笑った
最初は最後のようで 最後から最初のほうを指差すつもり
本当はわかってるんだ 約束を あの日あの時交わしていたと
たくさんの時計はどこかでその時を待っているから 大丈夫だよ
ほんとだね かならずあえるほんとだよ かならずあえるかならずあえる
目を閉じると柔らかい空の下に薄青紫がどこまでも広がっている
僕がいつからか大好きな色だ
僕はいつからか大好きな人達をそこで待っている
必ず逢えるだろう、この場所で待っていれば
僕は待ちくたびれたりはしないんだ
だってそこはとっても美しいから
だからここで待ってさえいればいい
なにひとつ考えなくていいんだ
仄かなラベンダーの匂いの中でずっとずっと遠く遠くにいる君のことを想い続け
僕も眠るよ
罪的思想から外れられない、これが僕を一層甘美にさせる
罪しか甘美なものはない、苦しみなさいと神は言う
自分と相手の間の違いがなんであるのか、僕は知らない
相手が死ぬのなら僕も死に、相手が快楽に満ちうるのなら僕も
そこから溢れ返る水だけがまるで余生、冷たくも生温くも君は美しすぎるのだから
何を向こう側に持ってゆけるのか、それだけを考えていた
何が向こうで君の柔らかな笑顔に変わるのか
何が君の蓄えになるか、何が君の種となるか、何が君の喜びに少しでも、僕はそこにはいないだろう
救われないと思われる悲劇のような事態に何故僕が満たされるのか
そこには他にはないとんでもない完全な救いが隠されているからだ
救いを救いと見るな、悲しみの果てが見えてこそ、それはこの世にはない悲しみとして成立する
アミダサマに出てきた律子のような声だと今日精神科で思った、その幼い愛しい喋り方
律子は愛する相手にあまりに慈悲深い存在だった、それはエゴを遙かに超えたものだった
しかし、ふと思う、そんな存在になる為には失った何かがあるのだと
“機械仕掛けの神とは古代ギリシアの演劇において、劇の内容が錯綜してもつれた糸のように解決困難な局面に陥った時、いきなり絶対的な力を持つ神が現れ、混乱した状況に解決を下して物語を収束させるという手法”
だから何の為におまえがここにいるのかって聞いているんだ
どうしたのですか?落ち着きましょう。今お茶を入れますね
おまえが本当に言いたいことは何なのか知っているんだ私は。おまえはいつもそうやって私を救うように見せて心の底では私がどうすれば救われないかを考え何かの計画を立てているのだろう
貴方は僕が考えていることを知りたいのですか?
知りたいとも
では、僕が貴方の何であるのか考えてください
おまえが私の何なのかだって?そんなことがわかるか!おまえは最初から私に付き纏い、まるで影のように私から離れない。考えてわかることじゃないだろう。しかしおまえの魂胆はわかっている。この前だってそうだ、おまえは私が苦しんでいるところを見てほくそ笑んでいたではないか!
ええ、そうですね、僕はいつも正直なのです
ついに化けの皮を剥がしたな、出て行け!おまえなどいなくとも私は生きてゆけるのだ
出て行くことはしませんよ。僕は貴方が何よりも愛おしいですから、それに僕がいなくなれば貴方の行き先は見えている
それはどんな行き先なのだ
僕がいないことに耐え切れなくなり必ず僕をまた側に呼ぶはずです
そんなことはただのおまえの妄想に過ぎない、私はいい加減疲れたんだ、解放してくれないか
解放…僕は貴方を縛った覚えはないですよ、僕も貴方から縛られていません
じゃあ何故おまえのことを考えるとこんなに苦しいのだ
苦しい?僕はこんなに嬉しいのに貴方は苦しいのですね、おや、お腹が空いたのですね、今すぐ作りますね
待て、まだ話が終わっていない
貴方は今酷く疲れています、僕は貴方の為になりたいのです、貴方にとって僕はとても必要なのです
(溜め息)何故なのだろう、何故苦しいのに心地良いのだろう、あいつは一体何者なんだろか
さあ!できましたよ、食べましょう……泣いているのですか?