キリンと白い団地

広い公園にはいろんな動物の等身大の模型が立っていた。キリンの横をお父さんと通り過ぎる。ハイエースが少し動いているよ、おかしいな、危ないよ、お父さんにしては珍しいな。階段を上って知らない団地だ。わたしはお父さんの手を引っ張り甘えている、子供のようだ、家に帰るの?そうがっかりしている。お父さんは疲れているようだ。間違って3階のチャイムを鳴らす。2階へ降りてチャイムを鳴らした。隙間からお兄ちゃんが鍵を開ける手が見えた。よかった、お兄ちゃんおった。お父さんと家に入ってわたしはお兄ちゃんに、今日は廊下がにぎやかだと言う、お兄ちゃんは自分の部屋でヘッドフォンをして楽器か何かをいじっている、聞いてないわ、お父さんが言う。台所で手を洗う。蛇口に取り付けてたやつ取れてた。目が覚めた。テレビからピチカードファイブの音楽が流れていた、懐かしくて悲しい気持ちになった。なんてアルバムに入った曲か気になった。もうすぐ一人暮らしに戻ることになる。

翠玉

君と話がしたいけど話すこと何もないんだ そう手紙に書いて送る 僕のさびしさを紛らわすため二十文字書いては送る 相手の気持ちにはさして興味はなく もとはね何もないところから生まれたから僕の心何もないんだ おかしくもなんともないのに さびしいと手紙を書く すべてのことさして興味もなく 生物に興味ないんだ と書いてまた君に送る 好きって気持ちね生物的でしょ 僕には邪魔でしかない この世には生物的じゃないものひとつもない 君に手紙送らせてくれ 眠れないって言えなかっただけなんだ そうそう昨夜子猿の片目は青みがかったエメラルドグリーン吸い込まれそうだった翠玉白い幾つもの気泡散っていてね その中こそが本物の宇宙 飛び跳ねている猿を僕ら眺めていた 望みは秘めた叶えられてたまるかだとはね

冬の朝

目が覚めるとカーテンを開けた。二つの窓があった。外は枯れきった草が伸び繁り、黒い外れかけてゆらゆらと揺れる門が見えた。あれ直さなくちゃな、そう思った僕はしかしそのあまりに淋しい景色を閉じてまた眠りへとついた。起きたらパンとコーヒーの朝食をとる。ストーブの前にへばり付いて考える。僕はあんな廃屋に住みたいかもしれない。一見人なんて住んでいないかのような荒れ果てた家に実はひっそりと隠れて生きていた少年。とかそう、それだ、僕の課題は自分で思うに孤独を乗り越えることじゃないかってそんな気がするけどな、だから僕は僕に孤独をたらふく与えなくてはならないし、僕にとって一番の幸福な場所は一番孤独な場所だろう。よく人と関わらなくちゃ人の気持ちわからないって言うけども、僕は人は孤独にならなくちゃ人の気持ちなんて考えられないと思う、それも本物の孤独、本当に寂しい人は人に優しくできるものさ、僕には孤独がまだまだ足らな過ぎるようだ。僕は温められている分心は分厚い氷河のようになっている、本当のひとりぼっちになった時き
っと僕は溶けて流れだす、思い描いてみる、喜んでくれる人たちのこと。

洞窟の中

飛行機飛行機二回目だ乗るのうわあいってやばい乗り遅れるぞ、あわわ行ってしまったではないか やい自棄くそだぜ僕は洞窟へゆく 順番めちゃくちゃだぜ 兎に角にもね僕ははじめて入る洞窟に行くんだ でもね誰かと一緒だった 話がまとまんないぜ 多分それはお父さんだった 一回目の洞窟探索さ 怖かったなんせ暗い 僕はそして飛行機乗り遅れた みんな乗った飛行機あの方の家族と僕の家族が何故だか知らないけど一緒に何処かへゆくんだ 僕はそれに乗れず二回目洞窟へと入りました 前より少し明るかった 白いアンコールワットそんな洞窟内だった 怖かったけれど急いで探したなにを?さあわからない 大切じゃないもの 大切なのは起きてわかる あの場所で君に再会すると僕らはなんて言葉交わすのかってことだった そしてあの飛行機に乗れたなら何処へ僕ら向かうのか 何を意味しているか?それは家族付き合いしたいんじゃなくて家族になりたいってことじゃないかな

宇宙かなにか

夢なんてさ 忘れちまうんだぜ だからさ忘れちまおうよ あの人とは別れて正解だったな ちょっとお待ちよ車谷さん 誰だ いやお前さんそれは違うんでないかい なんでわいはこんな江戸っ子やねん 違うってんでい 違うってか いやさ人を嫌うってことはさ 自分の至らなさからしかでないんだなこれが 人を嫌いながら前に進もうなんて無理な話てやんで 君は畏れている 愛されなかったことを 嫌いなわけではないよ みんなおりこうさんです 自分の人生は自分しか生きられないとわかっているのやなあ 可愛い宇宙かなにかの子供たちさ 地球が滅びたら違う星をさがそうよ 大丈夫今作ってる途中

泥いるか

天から見下ろしちゃあ地図見えた

お、あっこがいいね、あっこにおりまひょおもて、おりました

ほたらおもてたんとちゃうやんか、えらい濁っとるし、ここなにおるかわからひんしそりゃおとろしい

俺はいるかを探しとった

やからここに下りて来たんやけれど

いるかは俺を襲いに来てるみたい

なんでかしらんが狂暴らしいよ

でも俺はなにゆえかそんないるかが恋しいのよね

やからこないして生温い泥水浸かってるんやわ、ひとりでね

怖いけれどもそうしているかを待っていたよ、不気味な濁水俺浸水しながら

俺は自分でここに降りると、そない決めて下りて来たのやさかい

戻るわきゃあきまへんねやわ

可愛いて恐ろしいあいつに出会うまで遣っては使っては漬かっている俺、まだまだ浸かっているからさ、何時か遭いましょう