メシ喰うな

ああ腹減ったなんか食いたい食いたい食いたい悔いたいうまうまうまいなあ弁当買ってよかったなあ、ああもう腹いっぱいなてきたわもう食いたない、もうええわ。え?なにそれ?さっきまで食欲を燃えたぎらせていたのに、こんだあいらんいらんて、おい、なんやねんそれ、おまえなあ、ふざけんな、あれか、生きもんちゅうのはあれなんか、どこまで我が儘ですか、そこまで我が儘なんですか、びっくりするわほんま、食いたいだけ食って?あと食い散らかして終わりか、おい、そこのライオン、お前にもゆうとんねんこっちは、お前そのカピパラかカピバラかなんか知らんけどちゃうわインパラか、まあなんでもええわ、その鹿みたいなやつ、さっきまで生きとったんに、殺して食ってふんで終わりかおい、骨そこにほったらかしか、え?骨はいずれ土へと帰る?せやからゆうてそこほったらかすんか、片付けへんのか、己の命欲しさに別のふっつうに生まれてきよった命奪っとんねやでわれ、食ったら終わりか、ゴミかそれ、そこ捨ててどっかで自分は骨休めんのけ、ほっんまおまえほっんまおまえほっんまにどれほどのあれや、王様かおまえは、我が儘過ぎる、ええ加減にせえ、生きてるからって生きるな、生きてるからってメシ喰うな、喰うな、死ね、やっぱ死ぬな、死なんでええけどな、生きるな、飯を喰うな、弁当残すな、うまかった、はいそれで終わりにすんな、我が儘にも程がある、生きてるからって、俺?生きもんちゃうもん、俺生きてないもんね、死者?ちゃうわあほんだら、俺はな、なんや、考えたことなかったけど俺ってなんやろね、まああれとかちゃう、アレ、アレちゃう?俺、まあええやんアレはアレで。



話ちょっと変わりますけども、はい、ぼくね、はいぼくは生き物ですけど、今日ね?買いもん行ったんですわ、安い弁当二つだけ二割引されて珍しく残ってたからまあ買ったんですわ、他にもいろいろようさんまたまとめて買お思てカゴこんもりなたの重いん持てレジ列ぼうおもて列んだらね、ぼくの前に並んでたおっちゃんがね、同じ弁当をたった一つだけ持てね、並んでたんですわ、悲しかった、弁当は二百五十円とかですわ、二割引やからもちょと安いわな、その弁当一つだけ持て、それだけ買いにおっちゃんスーパーまで来たんですわ、そんな安い弁当買う金しかないんか、一方ぼくは恥ずかしかったこんもりカゴ持て六千円ものおっちゃんからすれば大金を持ち、汚らわしい欲望の塊みたいなんなて阿保みたいにこんもりしたカゴ持て突っ立てる自分が恥ずかしかった、おっちゃんはしかも、ぼくが豚カツ弁当を選んだばっかりに残された貧相な揚げ物ミックス弁当みたいなんを手にしてあのあと家でひとりでわびしく食うたんやろな、なんでぼくが豚カツ弁当であのおっちゃんは揚げ物ミックス弁当を食べることが運命付けられていたのか、その運命を決めた神は何故ぼくに豚カツ弁当、おっちゃんには揚げ物ミックス弁当を与えたまわったのか、ぼくが本来揚げ物ミックス弁当の人間でおっちゃんが豚カツ弁当ソース付きを受けたまわる人間であったのがぼくが卑しくも、げへへっちょむしゃほろげえと言いながら豚カツ弁当を手早くおっちゃんより一足早く掴み盗りほげらんちょうえいと叫びながらそこら中の品物をカゴに放り投げたので、天におられます全能の神が、あ、てゆうてる間に事は起きた、神は絶望した、おっちゃんが揚げ物ミックス弁当ソース抜きを食うてるところを見ながら神は泣いたであろう、ごめんやで、ごめんやで、と謝ったであろう、神ともあられます御方が!ぼくが豚カツ弁当ソース付きを選んだ為に世界は真っ二つに割れて神はおっちゃんに付き、げへらっちょ疫病屁の神がぼくに付いたのは明白なる事実であろう。了

巣、立ちいて

僕が失った思ってる僕の過去、過去の僕、それ消えた、それ完全消えた思た、消えないな思た、消えていない、消えないんだよ、僕のこと、てことは、僕以外のこともね、消えないな、思たんだよ、読み返す自の以上、そね場所に在るよ有る、それはね、僕なる親離れて巣立つ子為りて、その想い気付けえて親になったなてめぇ、泣いてらあ、己はね、君を産み巣立ちさせるばええん、て、わかったらよろしいな。

バルコニィにて

昼過ぎ頃か、それくらいに、いたからね、濁川沿いにね、僕行ったんよ、君の団地みたいな建物、入ってって、したら、バルコニィから左右眺望、みんな洗濯物干してるねえ、ゆうた僕、君、洗濯物溜まってんだ、ゆう、僕干してあげるよ、ゆうた、君、バルコニィの左隅に座り込み煙草ぷかぷか吸いながら、僕干し終わり夕景眺めていたと思う、日が暮れて来たから、そう言って、洗濯物どうにかしようとした、君は動物の形したハンガーを持って来て、何故だか、何故だか、それ、懐かしいね、そう思ったよ、知らないけれどね、哀しさにも似ていたんね、たぶん、知らないけれどね、日は暮れて行ったよね、あの後ね、たぶんね、洗濯物干しっぱなしやったの、に、目が覚めてそちら戻れなくなってしまって、どうすることもね、出来ないかはわからないんだけどね、またもしそちら行けたらならばね、洗濯物取り込むよ僕、で、また干してあげるよ、心配しないで、忘れているからと言って本当に忘れたりしないよ、ね、また、ね、楽しみにして過ごしたり、哀しんでいるね、そしたらね、うん。