最高なデート

11:37 kikyu268>梅田スカイビルにでも登って
11:37 入室 gigi gigi!~-
11:38 kikyu268>通天閣も登って
11:38 kikyu268>あべのハルカス登って
11:38 astor_pia>登るの好きなんだな
11:39 kikyu268>四天王寺に上って
11:39 kikyu268>うん
11:39 kikyu268>高いところが好きなんだ
11:39 kikyu268>天王寺動物園の象の上に乗りたいって奇声上げて
11:39 kikyu268>警察が来て
11:40 kikyu268>御幸通り(コリアタウン)【大阪市生野区】でキムチをあてに酒飲んで
11:41 kikyu268>全興寺【大阪市平野区】を酒飲みながら歩いて
11:41 kikyu268>ユニバーサル・スタジオ・ジャパンでジョーズの出てくるやつだけ乗って
11:41 gigi>またお前か
11:42 gigi>ききゅう
11:42 astor_pia>普段は、大阪弁を話すの?
11:42 kikyu268>天保山【大阪市港区】を意味もなく酒飲みながらうろちょろして
11:42 gigi>こわ
11:42 kikyu268>姉とかといるとしゃべるね
11:42 gigi>アル中やん
11:43 gigi>仕事してへんのか?
11:43 kikyu268>海遊館行って、夕食はサバにしようと呟いて
11:43 gigi>はあ
11:43 kikyu268>住吉大社【大阪市住吉区】に行ったら閉まってて、開けろー!って奇声上げたら警察が来て
11:44 gigi>キチガイやん
11:44 kikyu268>暗峠【東大阪市】は暗いなっつって、急な坂で転げて下まで転がり落ちてって頭打ってい血ィ出て
11:45 astor_pia>昼から仕事なんで打ち合わせにいってくる
11:45 kikyu268>箕面滝【箕面市】で焼きイカを猿に奪われて激昂してうっきいーーーー!!奇声上げてたら警察が来て
11:46 gigi>自動ログか
11:46 kikyu268>摂津峡【高槻市】でハゼ捕まえて逃がして
11:46 kikyu268>大阪のデートスポットを紹介してるんだよ
11:47 kikyu268>星のブランコ(ほしだ園地)【交野市】ここ近いねん、実家から、このでっかい橋渡って
11:48 kikyu268>下を見下ろしすぎてたら下に落ちて川に流されて
11:48 kikyu268>気付くと磐船神社【交野市】の石倉の中にいるではあーりませんか
11:49 kikyu268>千利休屋敷跡【堺市】に行って「さびしい」と呟いて
11:49 kikyu268>仁徳天皇陵【堺市】に行って「広いね」って言って溜め息をついて
11:50 kikyu268>大阪府立大型児童館ビッグバン【堺市】
11:50 kikyu268>漫画家の松本零士が館長を務める施設。に行って、「しんどいわ」って言って今度にしよう、と言って出てきて
11:51 kikyu268>ハーベストの丘【堺市】でウサギやシマリスなどの小動物と触れ合えるほか、牛の乳搾りもあるので、存分に触って乳搾って
11:51 kikyu268>乳飲んで
11:52 kikyu268>大平和祈念塔【富田林市】のPL塔を見上げて、虚無を感じて絶望的になって
11:53 kikyu268>金剛山【富田林市・河内長野市】の奥地で二人、互いにライフル銃を胸にあてがって死ぬる。了。
11:54 入室 mib_adefe mib_adefe!~
11:54 kikyu268>っていう僕らの最高なデート日でした。
11:54 kikyu268>おわり。
11:56 gigi>長い

Puzzle

いったいなんの世界に自分はいるのか、それがわかる例えばパズルのピースがあるとしよう、それはでも断片的なものばかり集まっても、一向にどんな世界に今自分がいるのかさっぱり解らない、そうゆう世界に僕はいて、それはゲームの世界だった。
断片は世界の鍵となるものであることは確かだったが、いくつ集まっても不確かな世界でそれでも僕らはゲームをしている。
いやゲームを楽しんでいる。
不安の大きいゲーム、廃墟と化した暗い洋館ごときの空間にはいつ何時恐ろしい敵が襲ってくるかわからない。
そして断片だけ集めてクリアして次のステージに次元と時空を超えてしんどい体勢でしか乗れない小さな乗り物に乗って飛ぶ。

断片しか見つからないというのが、面白いなと思ってね。
この世界もまったくそうなんじゃないか。
その断片を集めて、見て、ああこれぞ、これが何々だと思ってる。
それで次ステージへ飛んで、そこがまた違う世界だったりすると、また一から断片を見つけないといけない。
一向にパズルは完成されない。たとえグループで一緒に見つけて行動していても。
それが夢の中で僕は虚しくもあったけども、なんだか楽しくもあった。
どのようなゲームをしているのかさえわからなくても、なんとなく楽しくはあったし、恐怖や不安も大きかった。
つまらなくは、なかった。断片を出来るだけ多く見つけるという目的がちゃんとあったし、いつかわかるという気持ちがあった。
いつかはどのようなゲームの中に自分がいたのかきっとわかるという気がどこかにあった。
敵だと思っていた存在が実は重要な鍵を握る存在だったりもした。
恐怖から安堵感へ変わるあの幸福度を僕は思い出していた。
自分はそのゲームの中で、まだ幼かった。
僕に降りかかる事象はまだそんなに酷なものではなかった。
ママがいないとだめだった、ママのような存在が。
僕は本当にまだ子供だった。
一人で断片を見つけることはまだできないようだった。

わけもわからず僕は幼いままでクリアして、みんなと一緒に次のステージへと向かった。

#不良悶絶グループ - 2chIRC
"The criminal is the creative artist; the detective only the critic." ... G.K. Chesterton
14:25 入室 kikyu268 kikyu268!~QIRC-4rCw6@FL1-122-131-181-64.osk.mesh.ad.jp
14:25 TOPIC "The criminal is the creative artist; the detective only the critic." ... G.K. Chesterton
15:33 入室 black_eye black_eye!~6YoatCdC9_@101-50-247-226.osaka.otk.vectant.ne.jp
15:33 black_eye>ぺろーん
15:43 入室 gigi_ gigi_!~-fFUcb0yTY@p3032-ipbf3106hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp
16:03 入室 hashi hashi!~dbtyMBXdPg@wmx-pvt-116-191-224-119.kualnet.jp
16:06 kikyu268>彼にまた死ねと言いたくなったんだ、でも我慢した、その代わり、読書メーターのつぶやきで、死刑賛成者は殺人者だとつぶやいてほかの人を攻撃した。相手を転換したんだ、でも死ねって気持はなくならなかった、結局誰かを傷つけた、それを彼に言ったんだ、それから彼から二日連絡が来ない、彼は僕のことが特別好きではないと言った、彼への憎悪を自分の中で消化することができないんだよ
16:07 入室 gigi_ gigi_!~-fFUcb0yTY@p3032-ipbf3106hodogaya.kanagawa.ocn.ne.jp
16:10 kikyu268>それから、僕は二人を同時に愛してしまったようだ。彼に向ける顔がない。なのに死ねって気持はなくなってくれないんだ。それは自分を死ねって思ってるからだって気がしたんだ。僕は自分と他者の違いがないみたいだ。
16:10 hashi>一定時間集中的に働いて、気分転換にこの部屋に入ったら、ききゅの自分語りしか無かった。
16:10 kikyu268>きのこたんに言ってるんだ
16:10 kikyu268>無視してくれ
16:11 kikyu268>きのこたんにダイレクトメッセージ入れるのは、ちょっと気が重いかと思って、ここで言ってるんだ
16:11 kikyu268>文句言う前に無視しろよ
16:12 hashi>此処で俺は「死ね」などと考えたりしないように、心のなかで「ききゅハゲろ」と10回唱えた。
16:12 kikyu268>十分それも呪いだよ
16:12 hashi>心の声が漏れた。
16:18 hashi>まぁいつものことなので、それほど気にしていないだろ
16:19 kikyu268>俺がか
16:19 kikyu268>気にするよ
16:19 hashi>どんな風に?
16:19 kikyu268>人を嫌な気持ちにさせて気持がいいはずがない
16:21 hashi>単純に気持ちいいより、苦しむ方が好きみたいなこといってたよな コレもその一環かね
16:22 kikyu268>好きだと言ってない、自分が憎いから自分は苦しめばいいと思ってるだけ
16:22 kikyu268>でもそれで、人を苦しめていいとは思ってない
16:23 kikyu268>でも自分への憎悪がそのまま人に向いてるみたいだ
16:25 kikyu268>人を憎悪するとそれがそっくりそのまま自分への憎悪になるんだよ
16:26 kikyu268>そしてそれがまた相手に向く
16:28 kikyu268>だからその分憎悪が大きくなるのかもしれない
16:29 kikyu268>どこかで自分を護ろうという気持が働くなら、憎悪を相手に爆発させることもない
16:30 kikyu268>でもその憎悪が自分への憎悪でもあるから自分を護ること自体が嫌悪で憎いから、爆発をしてしまうんだよ
16:33 kikyu268>自分が苦しめばいいと思ってることが相手も苦しめばいいと思ってることと同じになってるのはわかる
16:34 kikyu268>でも相手が苦しんで、心の底から喜べることはないよ
16:34 kikyu268>相手を苦しめたら、その分自分への憎悪になる
16:35 kikyu268>そして自分は死ねと言う気持ちになって、それがふいに相手へそのまま向いてしまうようだ
16:37 kikyu268>自分を破壊することは自分に関わるすべての人を破壊することと同じなんだ
16:37 kikyu268>すべての人を破壊して、自分を破壊しようとする
16:39 kikyu268>無差別殺人の人が、もしそれが自分にだけ向く人間なら、ただ自殺していた人たちばかりだと思ったんだ
16:39 kikyu268>僕は無差別殺人者の傾向があるんだよ
16:45 kikyu268>自分のために、と言う気持ちが少しでもあるなら、僕はもう少し衝動を抑えられるはずなんだ
16:49 kikyu268>相手を傷つける行為が自分を傷つける行為になってるんだ
16:49 kinoco>ききゅ ハゲろ!  https://www.youtube.com/watch?v=ywjimpsMVDE
16:50 kinoco>なんでうらんじゃうんだかなー
16:50 kinoco>だめよーだめー
16:50 kikyu268>ごめん、今日は余裕がないよ
16:50 kinoco>はあい
16:51 kikyu268>きのこたんはいい加減に人と関わりすぎだ
16:51 kikyu268>ぼくのような人間にはそう感じる
16:51 gigi>ききゅうはセックスしたすぎて
16:51 kikyu268>どんな人間も
16:51 gigi>頭が狂ったんだろ
16:51 kikyu268>ぼくにとってはいい加減なんだ
16:51 gigi>まんこー
16:51 gigi>まんこまんこ
16:51 kikyu268>死ねよぎぎ

煉獄の庭

好きな女の子がいて、ぼくは、ぼくは、好きだってこと、言った。
小さな女の子、ぼくも小さな男の子だったけど、勇気出して言った。
女の子は、無言だった。
女の子は、無表情でぼくに指図した。
意味のわからないことをやらされた。
言葉で言い表すのは難しいが、例えるならそれは大根の髭の多いやつと少ないやつを分ける作業みたいなことに似ていた。
意味も解らず女の子はそれを僕にやらした。やらし続けた。
僕は脳の大事な部分を抜き取られたみたいな感覚になって肩から腕にかけてだらりと垂れ下げて途方に暮れた。
女の子はそれでもぼくに指図をやり続けた。
ぼくと女の子が7歳のときだった。

十年後。
ぼくと女の子は偶然、おなじ電車に居合わせた。
女の子はぼくの目の前でハンカチを落とした。
虹色のハンカチだった。
女の子は途中の駅で降りた。
降りたことのない駅だ。
ぼくも降りて、女の子の後を着けた。
女の子は変に暗い美容室へ入っていった。
ぼくは外で待っていた。
女の子が出てくると、腰まであった長い栗色の髪が耳の辺りまで短くなっていた。
女の子はぼくの目を見た。
女の子は無言で無表情でぼくの横を通り過ぎた。
そして振り返り、ぼくに言った。
「どうしたら、いい?わたし」
ぼくは女の子に言った。
「ぼくに、仕事をください」
女の子は言った。
「さっき切ったわたしの髪を奪ってきてそれを1mm単位に切ってそれを一つずつ砂利に貼り付けてそこに火をつけて燃やせ」
ぼくは言うとおりにした。
そしてぼくは脳の人間的な部分をすべて剥ぎ取られた感覚になって肩から腕にかけてだらりと垂れ下げ言った。
「ああ、煉獄の庭」

本当の嘘

俺はそういや嘘を付かれて来てばかりだ。誰もが俺に嘘を付いてきた。嘘を付いて俺に幻想を持たせ近づいてきた、そして俺が離れないようにした。なんでみんな嘘を付くんだろう、嘘をつけるんだろう、平気な顔をして。茄子食うて胡瓜食お思たら涎が垂れた。みんなほんと嘘が好きだなあ。存在自体が嘘。おまえの存在自体が嘘だよ。俺にとって。たったひとつでも俺に嘘を付いたのならお前の存在は俺にとって嘘だからね。一体何を俺に望むんだよ、おまえが嘘なのに。嘘がおまえなのに。ふざけるのもいい加減にしてほしい、俺に嘘を付くな、どんな嘘でもだ、それは俺にとっておまえが嘘にならないためにだ、俺は嘘と付き合っていくなんて嫌なんだよ、嘘と関わっていくなんて気持悪いんだよ、死にたくなるんだよ、嘘と接していくのは、死にそうなんだよ世界は嘘ばかりで、色んな嘘が汚物のように張り付いた言葉を聞くのは俺はもう嫌だなあ、死ねって思ったときは死ねって言える社会になればいい、そしてみんなもっと傷つけばいい、みんな一緒に地獄に落ちればいい、愉快だよ気持ちいよ最高だ、みんな一緒の地獄、糞溜めの中で生活しよう、そしたらもう本当に汚いから嘘なんか付く必要なくなるんだ、クソの中だけど楽しい我が家なんだ、傷つけあって精神病んで病気なって早死にしたらいい、そのほうがずっと幸せだよ嘘と付き合うより、自分のための嘘とか、死ねば良いじゃん、ね、死ねばいい、相手のための嘘も、死んだらいい、ならないよそんなもの、俺はなった覚えがないからね、そんなもの、俺は家族全員から感情をいつもぶつけられて育ってきた、死ね、とか、おまえのせいでお父さん死んだ、とか、そのおかげでこんなにひねくれた俺がいる、って違うよ、俺はそれに感謝してる、感情をそのままぶつけてくれたことが俺にとってありがたいことだったと思ってる、俺はそれが愛だと思ってる、だからそんな家族を愛してるんだ、何を言われようとも、人間はそうゆう繋がりが必要なんだと感じる、感情を包み隠さずにぶつけ合えることが必要なんじゃないか、そう思ったので俺は恋人にそれを言った、思ったことなんでも俺にゆうてくれよ、何を言われても俺は絶対に傷つかない、俺は言われないほうが傷つくんだ、すると彼女は本当に思ってることを俺にぶちまけてくれた、実は他に好きな人がおる、でも俺のことも好き、どないしたらええのやろう、最近俺のこと考えてもあまり興奮しなくなった、でも彼のこと想うと興奮してしまう、ほんまどないすればええんにゃろう、俺にいつもむかついてる、俺の性格どないかならんのかと想ってる、でも好きやから別れられなくて困ってる悩んでる、言えてスッキリした。俺は、それから数ヶ月、陰茎が勃起不全になった。でも、言ってもらえて、よかったと、こ、ころの、そこここから、思って、る、るるるんるん、けろけろっ。パミリオン。

死刑確定

おまえなんか死ねお前なんか死ねお前なんか死ね御前の事だよ前のことおめえのことだよおまえなんか死ねゆうてんねん、殺したる、いいか、何故なにゆえ殺人者が生まれるかおまえは知ってるか、ははは、あのなあ、それはな、人々に愛がないからだよ、だから人は人を殺すんだ、ははは、おまえらのせいだ、愛のないおまえらの、おまえらが死刑賛成しているからだ、死刑賛成に愛などないからな、俺はそう思った、殺人者を生み出すのは、死刑賛成者たちである、愛のない人々である、だから俺は、殺人者をこの世に生み出さないために、死刑賛成者を全員殺すことにした、そして俺はアレフに入団した、そこで数ヶ月修行した俺は、みんなに向かって、もう一度やろう、と言った、今度は無差別ではなく、死刑賛成者達だけを確実に殺そう、と言った、悩みに悩んだ者は数名いた、しかし最終的俺に着いてきたのはタガメというあだ名のタガメみたいな顔のやばそうなおっさんただ一人だけであった、おっさんは俺の熟なる女体を欲しがっていたが、やらなかった、成功したらな、性交や、と俺はいつも耳元で囁いてやった、そしてタガメのおっさんをたぶらかして大人数を一気に殺傷できるほどの毒物を取り入れて、毎日毎日汗水垂らして作った、毒剤、これを死刑賛成者達が集う会「死刑反対の反対の反対の反対なーのだ会」の会場に持ち込み、振り撒くそのときを俺とタガメのおっさんは待ち望んだ。振り撒いたら自分らも死ぬやんと御思いだろうが、それはない、俺とタガメのおっさんはもう既に毎日少量ずつ吸い込んでしまっていたので、どうもこれは毎日少量ずつ吸い込むことによって驚くべき免疫を持てる身体になっていくようらしい、だから死なない、ちょっと気分は悪くなるかもしれんけど、まあ死なないと思う、「死刑反対の反対の反対の反対なーのだ会」に集まった人の数は俺たち除いて555人であった、すごい数である、死刑賛成者達のアホ面、真面目面、怨念面、各々に死刑に賛成する理由は違うのだろう、ひとりびとりが、まるで自分を打ち燃やすようにして死刑に賛成しているかに見えた、俺はそのひとつびとつの顔を凝視して、なんとゆう因果だろうと思った、俺は殺す意欲が萎えた、そうして肩を落としてぼんやりしてる俺にタガメのおっさんが肩をどすっと叩き言った、「加藤くんを救いたいんやろう、ウエーダはん」そう言われて俺ははっとした、せや、わいは加藤くんを死刑にせんために、ここにおる555人を死刑にしよう思てたんやったわ、俺より年下の初の死刑囚である加藤くんを救うがために、俺はやるしかないんや、やるしかあらへんねや、俺は加藤くんをどうしても死刑にしたくない、俺より後に生まれてきた彼をどうしても死刑にするわけにはいかない、だから殺すしかない、殺すしかない、俺が殺す、今、此処で殺さなければ負の連鎖が終わらないだろう、死刑に賛成する人たちがいるから殺人者が生まれるんだ、愛がない世の中だから殺人者が一向にいなくならないんだ、それを見せしめるために俺はここにいる全員を殺戮しなければならない、俺は憎いんだ、もし本当に苦しんで生きてきた人間ならば、殺人者に少しでも共感できるはずだ、それができないのは本当に苦しんできた人たちじゃないからだ、本当に苦しんできていない人間たちが本当に苦しんで、その末に人を殺さずにおれなかった境遇の人の死刑を望む、確かに身内を殺されたら相当苦しいだろうし、俺だって同じく死刑を望むかも知れん、しかし死刑を望むような世の中だから俺の身内が殺されたんだ、それは未来の俺に対する復讐か、未来の俺のせいで、俺の身内が殺されたということか、無念だ、だからそんなことのないように、死刑を望む人間を自ら手を汚して抹殺するべきだ、人を殺すことはどんな理由においても間違ってるんだってことを、俺が此処で大量に人を殺すことによって世の中に示せたらそれでいい、俺はおんなじことやってるんだってことを言いたいんだ、加藤くんがもし俺の身内だったら、俺はやっぱりどうしたって殺されて欲しくないから、彼が殺されたら、死刑に賛成した人たちの死刑を望むことと同じだ、つまり死刑を望む彼らも死刑を望まれる人たちってことだ、憎しみの連鎖が血脈のように行き渡った世界で殺人者が減ると思うか、俺はそのどすぐろい血脈を次次に切断して行きたいだけだ、間違ってるんだから、人を殺すことは、どんな理由においても、俺が殺すしかないやろう、間違ってるんだから、絶対、絶対に、人を殺すことは間違ってるから、俺はおまえらを殺す、殺されて欲しくないんだよ、これ以上、これ以上、エニモア、エニモー、anymore、全員、死んでもらいまっさっ、「死刑反対の反対の反対の反対なーのだ会」の講演が終わり、会場ではがやがやとみな雑談にふけっている様子、俺とタガメのおっさんは会場の後ろに行き、数十個のプラスチックケースに入った毒剤を黒い鞄から取り出すとそれを全部床の上に置いて、蓋を開けた、俺とタガメのおっさんは息を止めて急いで走って会場を後にした。外に出ると、空がやけにすがすがしく晴れ渡って鳥が鳴いていた。帰り道、何台ものパトカーと救急車がサイレンをけたたましく響かせて俺達の横を走り去っていった、成功したんだ、全員とはいかなくとも、半数以上は死んでくれたかもしれない、明日、新聞社に手紙を出そう、死刑が執行されるから殺人がなくならないことを訴える手紙だ、な、タガメのおっさん、俺は木漏れ日の落ちる遊歩道でタガメのおっさんにキスをした、そして人気のないところで成功を祝ってタガメのおっさんと性交した、蝉は鳴いていなかった、ぎんぎんとした耳鳴りがうるさかった、吐き気がした、俺とタガメのおっさんはゲロを吐いた、ゲロまみれの口でまたキスして二人であほみたいな顔で笑った、でっかい蝿が俺の鼻の上にできた痘痕に止まって、俺は小さく、不分明になった視界で、死にたい、と呟いた。

別世界

みんな、何が楽しくて、生きてんねやろ。俺はなんも楽しくない。なんも楽しくはない。俺はだから楽しいことを見つけたいと思っている。自分の力で見つけたいなって俺は思っている。じゃないとやっぱ楽しくないし、生きてても楽しくないからね。生きてても楽しくないってことは、それはつまりの結句、死んでても楽しくないことだと僕は思う。僕はやはり死んでも、楽しいほうがいいなって思うのだ。だから今のうちに、楽しいことは見つけておいたほうがよろしいかなって思うのかな、なんとなく、そんな気、するのかな、俺はだからパン、食ってみた、楽しくはなかった、ぼーっとしてみた、楽しくはなかった、自分の手をじっと見つめてみた、楽しくはなかった、なんか色々考えてみた、楽しくはなかった、パソコンでいろんなページを見てみた、楽しくはなかった、何も、何も、何も楽しくはなかった、しんどかった、全部しんどかった、俺は気付いた、俺は何やってもしんどいんやん、なぜ、こんなに、生きにくい、のか、俺はもう、こら僧侶になるしか、あらへんで、正味、って思た。そしたら少しは楽になれるんじゃないかって、楽になることが楽しいことかどうか、俺はちょっとよくわからない、俺はとにかくしんどいことはしんどいの、つらいのこわいのかなしいの、くっくるしいのっ、俺はしかし誰も信じないぜ、いや何も、俺はだって、何かを信じてるから苦しいわけじゃないさ、反対だ、俺は自由なんだ、本当に本当の自由なんだ、俺はなぜ苦しいか言ってやろう、俺は苦しいから、苦しいんだよ、これは別に苦しいことを信じてるから苦しいわけじゃないよ、何にも信じてなくとも、どうも苦しいらしい、俺は幻想を夢見てる、世の中にはそうゆう部族がいてね、幻想のさらに夢を見てるらしいんだ、もうそこは別世界だとゆう、すべての価値観概念観念なんでも意味を失くすんだって、例えばヤクチュウでふらふらなってゲロ吐いたり瞳孔開いて涎垂らしてる人を見たら、なんだか苦しそうにも見えるけど、当の本人はすごく心地良い境地に浸ってるかもしれないだろう、俺はそれってなんだろうって思うんだ、俺はいつも言ってるんだ、俺は苦しい俺は苦しい俺は苦しい、すると誰一人俺が苦しくないように見えるらしい、俺はそれがとてもむかつく、そしたらきっとこんだ、俺は楽しい俺は楽しい俺は楽しいと言っていると、あいつくるしそうやなって思われるってことだ、楽しいちゅてんのに、苦しそうやなぁてどないなっとんねん、楽しいから楽しいちゅてんねん、苦しいから苦しいちゅってんねん、なのに何故人は言葉通りに受け止めようとはしないのだろうか、だから俺は自棄なってヤクを打ち出してヤクチュウになった、そして瞳孔開ききって涎垂らしてる写真を全国ネットに貼りだしてみた。すると人々はこんだ、うっわー苦しそう、やばそう、いかれてる、とかコメントしやがった。どないなっとんねん、当の俺は気持がよいところの写真やっつうーのに、この世界はどないなっとんねん、俺はますます逃避するためにヤクを打って、そして辿り着いたんだ、幻想を夢見る世界へ、俺はそして、そのまま彼の世に逝った、俺は自分では究極に慈悲深く微笑みながら逝ったつもりだったけれども、俺の死に顔を見たやつらはみんな、なんて苦しそうな死に顔だと涙と鼻水を流して酒飲んだくれてゲロ吐いて屁ぇこいて寝たらしい。あんまりやろ。ぷぎゅん。

不明な場所

死んでくれよ、死んでくれよって涙流して頼む、頼むから俺死んでくれよって俺は俺に泣き縋る、俺はもう死にたいと思うことがなくなった、俺は君に愛してくださいと言う代わりに俺に向かって死んでくれと言う様になった、俺は愛する人に愛してくれと思うことがなくなった、俺はその分自分が愛おしくてならなくなった、死にたいと一瞬でも浮かばせるならそれが言い終わる前に死んでくれと懇願するようになった、死のイメージはどこにもなかった、死などどこにもなかった、死がなくて生だけがあった、死を失った生は、それだけで死でしかなかった、死以外のなにもの、でも、そうだ君は生きている、それは死んでいるということだよ、いや死んでいる、だから君は生きている、死を亡くした今、君はやっと死ねたんだ、それが生きているということさ、俺は生きている、それは滅びることのない死だから、生命が息絶えることのない死、俺はどうしても生きたかったんだ、俺はどうしても死にたかったんだ、どうすればいいのかわからなかったんだ、二つは違うものだと思っていたから、でも同じものでしかなかったんだ、俺は同じことを思っていたんだ、たった一つのことを、たった一つのことだけを、俺は確かに今生きている、それは俺が確かに今死んでいることだった、どうすることさえできない、俺は生きる意味を失くした、そして俺は死ぬ意味を失くした、俺は生きて死んでいる死んでいるから生きている、これ以外にどこにも俺は行けないようだ、俺はもう本当にどこにも行けない、生も死も俺の中にあるのだから生と死以外のところがどこにもないんだ、どこにある?あるなら教えて欲しい、俺を導いて欲しい、俺に合った場所がここなのはわかっている、でも誰かいないのか、誰かいないのか、誰か、誰か、俺の手を引くものは、どこにもいないのか、俺にあった場所から俺を奪う者はいないのか、俺に会う場所、俺に在った場所で俺に会う、俺はそれを待ってた、俺はそれだけを待ってた、生でも死でもない俺に会う場所、どこにもないのか、俺に合った、俺に会った、俺はやっぱりここに俺はいないような気がする、俺に合う場所は俺に会う場所のはずなのに、俺はまだ会ってない、俺はおまえに会いたいよ、俺なんだろう?おまえは本当の、俺はいつかおまえに会うよ、不明な場所で。

夜が巨大な死体

だめだだめだまた自分の頭をライフル銃でぶっ放したくなっている。死にやがれ!そう自分に向かって顔面一撃で跡形もなくなるほどの銃で撃てたらどんなに気持ちがいいだろう。辺りに飛び散った黒い肉と黒い血、それを真夜中に見た奴は思うだろう、いったい、どっちが闇なんだ?!ここにいるのは俺だけじゃないか、つまり死んだ人間を知らないのも俺だけじゃないか、俺以外、ここには誰もいないじゃないか、この死体が俺ではないと証明できる人間がいない、俺の心臓が本当に生きてるのかどうかも、死体が眠る夜がこの世界だとしたら俺が眠る時間こいつは動いてるんじゃないだろうか、そこで死んでいる人間がおれだとしたら、そうだ此処は色がないじゃないか、俺はいつ色をなくしたんだろう、思い出せない、これは違うぞ、孤独でもない恐怖でもない、そうだ、諦めだ、俺は諦めた人間だったんだ、死体に出会う前から、俺はなんにも何一つ望めない、それも違う、望めないのでもなく望まないのでもなく望む必要性が見えないのでもなく望むことをやめたのでもなく、俺はただ自分を失ったに過ぎない、何か違う、失ってもいない、俺はこの死体と自分の違いがなんなのかわからない、では俺は死体ということか?俺が死体なら俺は死体として生きて行く、だがそれを証明できるのはこの死体とこの俺しかいない、俺が死んだらきっとこいつは生きるんだろうけど、俺の死体はきっとおまえに証明なんかしない、証明できないから死んだよ、お前は嘘でもいいからお前が死体なんだと証明されたらお前は死ななかったが唯一証明できる存在の俺がお前に証明しなかったのは俺はお前に死んで欲しかったからだよ、俺はお前に証明なぞ望まない、おまえも俺に証明を望まない、でも俺は言ってやるよ、お前は死体だ!お前は死体だ!お前は俺の・・・・・・死体だ!さあ頼むよ、俺は今から死ぬんだから、お前の為だよお前の為だよお前の為に死ぬんだよお前が俺に言う為にだよそうゆう遊びをする以外しょうがないって世界だよってお前が俺に言うためにだよ俺は死ぬんだよ、夜と言うのはそもそも死体が眠るために在ったんだ、夜が巨大な死体だと証明するために死があったんだ、後から出来たんだよ死は、そんなものが永久に続くはずもないだろう、本当に続くのは死体なんだ、このどこまで続いてるのか解らない夜なんだ、夜と言う死体に抱かれて眠るのさ、俺は死体に抱かれたいんだ、だから死ぬんだよ、骨は白く血や肉は黒い、完全な夜だ、お前の死体も俺の死体も、死んでいこう。お前は他にできることがないんだよ、他になりたいものなんて、ないんだよ、ただ俺はおまえの喜ぶ顔が見たかったんだよ死体になって喜んだその顔が、お前は夜になったその顔が。だからこの頭を血と肉にしよう、そしてお前に言ってやる、お前は夜だ!お前は夜だ!お前は巨大なる永遠の夜だ!

我が半生 幼年時~少女時

 そうして家へ連れ帰られ、5歳か6歳か、小学校へ上がる前、私は家で一人でお絵かきをしたりして退屈な時間を潰していた。すぐ近所に住む女の子が幼稚園から帰るまでの間。私は何度も彼女が幼稚園から帰ってきたかと彼女の家のチャイムを鳴らしそのたびに、ごめんねぇまだ帰ってきてないのよという彼女の母親からの言葉を聞いてがっくりして何度も家に戻っていたことを憶えている。
 彼女とはリカちゃん人形などのお人形さんごっこなどをしていただろうか。
 たぶんそれくらいの時分である、私は夜におしっこで目が覚めたのだろう、起きると、父も兄もいなかった。家中どこを探してもいない。泣きじゃくりながら私はピンクの花の子ルンルンのパジャマとかでその近所の女の子の住む家に、みんなが寝静まる真夜中だと言うのにチャイムを連打して、おばちゃんが出てくると、泣きながら「お父さんもお兄ちゃんもおらへん」と言い、あらあらと優しいおばちゃんは私を家の中へ入れてくれて、朝になるまでそこで寝た。朝になって戻るとお父さんもお兄ちゃんもいて、責めるように訊くと、どうやら二人でこっそり夜釣りに出掛けていたらしい。なんで黙って行くんや、と相当責めて、お父さんも「すまんすまん」と謝り、もう黙って行くのはやめると言ってくれた。

 兄が中学に進学した6歳のころは父が帰ってくる夜まで中学校から帰った学ラン姿の兄に送られエホバの証人であったときの母の友人であった姉妹(エホバの証人は女性のことをみな姉妹と呼び、男性は兄弟と呼ぶ)の家に預けられた。
 その家で印象的に覚えているのは宇宙戦艦ヤマトや、銀河鉄道999に出てくる女性の絵をとても上手く描くその家のお姉さんがいたことである。
 そうした1988年の4月、6歳の私は小学校へ入学した。多分、その頃だろうか、父は長年勤めた大手ミシン会社を退職した。辞めた理由は少しでも長くまだ幼い私と一緒にいる時間を増やすためであった。そして退職金で父は一年間、働きには出ず私が小学校から帰れば、父はいつも家にいてくれた。
 私が小学校から帰ったある日、家の電化製品がいくつも、買い換えられていた。テレビ、冷蔵庫、洗濯機などが新しくなって、テレビで時代劇や洋画を観るのが好きだった父は大きなテレビを前にして嬉しそうであり私も嬉しかった。父は一年間ほど休んで、そして親戚の雇う仕事を受けて、働きに出かけるようになった。
 小学一年生のときは特に何の問題なく過ごせていた気がする。しかし二年生に上がって、私は人生初めての挫折と言っていいものを経験する。
 それは時計の時間を勉強する授業の時であった。私は先生に当てられて黒板の前に立たされ、この時計が示している時間はさて何時何十分でしょう?という問題に答えるようにと言われた。
 私はそれがまったくわからなかった。それが極簡単な問題だろうということはわかっていた。しかし授業を真面目に聞いていなかったのであろうか、私は考えに考えても解らずに、とうとうみんなの前で俯いて、悔し涙を流して泣き出した。
 それが私の憶えている限りにおいての人生最初の挫折であった。
 
 一年、二年、と私はよくおしっこを漏らしてしまう生徒であった。そのたびに保健室で代えのパンツをもらい、それを履いて帰宅していた。おしっこがしたくなると、しゃがんで、股間に足をぎゅっとつけていつも我慢すると言う癖がついていた。それほど学校のトイレは怖いものであったのである。学校ではちょうどトイレの花子さんなどの学校の怪談が流行っている時期であり私は学校のトイレに恐怖していたからである。
 トイレの花子さん以外にも四時婆、五時爺、テケテケなどの今に思えば愉快な妖怪まがいの面白い怪談が当時の私にはあまりに恐怖で、一人ではなかなかトイレにも行けなかった。いつもトイレに行きたいときは友達と一緒に行っていたのである。それでもいつもギリギリまで我慢をしていたので、とうとうたぶん4年生くらいのときであったと思うが、私は帰りのみんなで笛を吹いてさあ帰ると言うときに、我慢しきれずに教室で漏らしてしまった。私の下の床にぽたぽたと水が滴り落ちている。それを指差して見つけたアホな男子が「なにそれっ」と訊いたので、私はとぼけて、「ん?これ?ああ、お茶こぼしてもうてん」などとしれっと嘘を言い、それでも訝しく見ている男子であったがなんとか誤魔化してその場をしのいだ。
 
 小学校はだんだん私にとって過ごし辛いものとなって行った。泳ぎの苦手な私はプールの日は地獄であった。本読みの国語の時間は当てられるといつも声を震わせて読んでいた。異常な緊張性体質であったのである。一番自分にとってつらかったのは笛のテストの時間であった。前に出てみんなの前で笛を吹くとき、私は緊張のあまり手がドリフで老人の真似をしている志村ケンかというくらいにぶるぶると震え、口さえも同じく震え、「ピッッピピッピーッピピッ」というふうにいつもまともに吹くことが出来なかったのである。それを見た生徒達はみなくすくすと声を殺して私を笑っていた。
 あまりに屈辱恥辱的であった。私はその苦痛からか徐々に小学校をよくずる休みする子供となって行った。

 たぶん3年生のときである。私は父からもらった小遣いで学校から帰ると近所のニチイというデパートに行ってハムスターのオス一匹を買ってきた。ハムスターが欲しかったのである。それを、父に見つかると怒られると思い、押入れの中に隠して飼っていた。洋服を入れるケースに入れて蓋は適当なものでこしらえて飼ってたので、ハムスターは何度も脱出を試みた。ちなみにハムスターの名前は「オッサン」という名前だった。買ってきたときからもう随分大人で、見た目もおっさんっぽかったからである。体のでかい茶色と白のゴールデンハムスターであった。そのオッサンが何度目かに脱出したときに、とうとう父に見つかったのであろう。父に怒られた。でも、なんとか許してもらえた、しかし二度と逃げさせるな、もし逃がせば捨てる、という非常に厳しい戒の元であった。許してもらえたときはとても嬉しかった。そして私は調子に乗ってさっそく、ハムスターの茶色と白のメスも買ってきた。メスも既に立派な大人であったが、オッサンよりは幾分若いように見えた。メスの名前は覚えていない、名前はなかったかもしれない、小3なので名前を真剣につけるということが頭になかったようである。それらを兄の部屋に置いて飼っていた。私の部屋はなかったからである。そうして一緒に飼いだすと、一年中が繁殖期のハムスターはすぐに子供を産んだ。最初に生まれたときは確かねずみにしては少ない2匹とかだった。その一匹は真っ白のオスで、とても性格の穏やかな可愛い子で名前を「しろっち」と名付けた。そうしてねずみ算式にハムスターは増えて行き、一時は14匹くらいはいたように思う。ハムスターでつらいことはたくさん起きた。まだ生まれて目も確かに開いていない子供たちを私は小屋の外へ出して、遊ばせていた時である。一番の仲のいい友だちを部屋に呼んでいた。友達が帰ったあとであろうか、その中の一匹がダンボールの下にいて、見ると、死にかけていた。私がダンボールの下にいると知らずにその上に手を置いて体重をかけてしまったからであった。私はその子が死に絶えるまでと、死んで動かなくなった後もずっと泣いていた。
 それからハムスターは多頭飼いをすると、ストレスや何かの理由でいじめと死んだ仲間を共食いする習性があり、大きなハムスター用のケージで7匹ほど一緒に飼っていたとき、朝起きて見ると、ケージの中が阿鼻叫喚地獄と成り果てていたことがあった。何匹も死んで共食いをされており、頭を食われて、ないものが何匹もいた。そして生きている者の口の周りはみな血だらけであった。それが夏の日であったのだろう、少し時間が経っているので腐った匂いがしてくるのである。私一人ではどう手をつけてよいものかわからず、離れて暮らしていた当時26歳くらいだった姉に連絡をして、姉はなんと優しいのだろう、たった一人で一言の文句も言わずそれを片付けてくれたのである。
 しかし一番つらいハムスターの出来事は、まだ小さな子供のハムスターを逃がしたときのこと。あれから何十回と逃がしても父はなんとかこらえてくれていた。何べんも叱られ、次逃がしたら、次逃がしたら、と言われていて、私も次逃がしてもまた見逃してくれるだろうと甘く見ていたのだろう、また逃がして、洗濯機の裏とかに逃げると、そこに頬袋に詰めた餌を吐き出したり、また糞を落としながら歩く習性があるのでそれも非常に厄介で、私も父にこっぴどく怒られるのは嫌だったので、真剣に探し回り、それでもなかなか捕まえられなかった。そして、夜、私よりも先にハムスターは父に見つかって捕まえられてしまい、なんという悲劇なのだろう、かんかんに怒っている父はそのハムスターを握り締めると、窓を開けて、マンションのすぐ下にあるどぶに近い川に向けてポーイと投げたのである。私はまさか捨てると言葉では言われてたが、本当に捨てはしないだろうと思っていたので、これには相当ショックで、父という人間を疑い、父を憎く思った。そして泣きながら兄と一緒に懐中電灯を持って、下に降り、川ではなく下に落ちて、どこかにいるかもしれないと探した。しかし見つからなかった。そうしたたくさんのつらいことがあり、最後まで生き抜いたオッサンとしろっちはとても仲良く二匹一緒にカゴに入れていたが、その二匹も死んで、私はハムスターを飼うことはもうしなくなった。

 これも3年生のときである。私はクラスの友だち等数人と昼の休憩時間、下駄箱の前の傘立ての上に乗って、遊んでいた。そのとき私は何を思ったのであろう、傘立ての上に乗った女の子を思い切り押して彼女を墜落させてしまう。彼女は膝がぱっくり割れるほどの大怪我を負った。いったい何があったのかそのときのことについてそこにいたみんなで放課後先生の前で話していたときである。彼女は落ちたときその痛みにすごく泣いていた。と誰かが言った、私はそれを聞いて、そんな彼女を馬鹿にするように声を出さずに笑ったのである。するとその瞬間を見たある女の子が私を指差し「今、上田さん、笑ってたー!」と糾弾した。私はそれにカッと来て「笑ってへんわっ」と怒って返した。今思うと、このときの自分は完全サイコパスだったなぁと思うが、サイコパスというのはちょっとかっこいいのである。しかし私はこのときに負った罪を必ず返さなくてはならないと思っている。

 そうした三年生のいつの前だとかは思い出せないが、私は3年生のときに、自分の一生を決定するようなことを知った。それは、性への目覚めであった。きっと一人ではずっと知らずにいたことを、6歳上の兄の隠していた漫画や雑誌を読んでしまったことで、早くに知ってしまったのである。私は日々、貪るように読んでいたのを憶えている。そして雑誌に股間には女性の性感帯があってそれが詳細に書かれているのを読んだ私は興味に駆られ、早速それを行ってみた。最初のときはパンツの上から少し刺激するだけだったのが絶頂に達すると全身が震え上がったのを覚えている。それからは病み付きになり、学校から帰ると一人で変な体勢で耽るということが日課になって行った。指だけでは足りなかったのかちょうどあったトムとジェリーのトムの小さな針金の入った人形で刺激したりしていた。いつもパンツの上から少し刺激しているだけで絶頂に達していた。その頃くらいだろうか、思春期の兄に火燵の中で足で股間を突かれたりなどして、私はそんな兄のいたずらが限界に達しトイレに逃げ込み鍵をかけたり、一人で泣いて兄を怖れていたが、父にはそのことは言えなかった。兄からしたら思春期のひょんな性的な関心の入り混じったいたずらであったと思うが、私は真剣に嫌だった。近親相姦だから嫌と言うのではなく、ただたんに性的な部分をいたずらされるのが恐ろしかったのである。
 しかし私の性的なものへの興味は衰えることはなかった。兄の所有する漫画や雑誌だけではもの足らず、同じマンションの住人が捨てている青年雑誌を持ち帰ったり、または近所の一軒家の駐車場に入って、そこに置いてあった青年雑誌を持ち帰ったりまでした。性に飢え切った餓鬼そのものであった。それでも学校で一人で行うということはなかった。
 何故、性への目覚めが私の人生を決定するものの始まりになったか、それは私がこれから続ける半生を最後まで読むとよくわかるだろう。
 我が半生を書くにあたって、このあまりに恥ずかしく、人目にさらすべきではない事柄をなるべく具体的に書いて、それを誰でも読める場所に公開することは苦しいことであるが、この性に関することをいい加減に書くのなら、私は我が半生を書く意味がないのだと感じる。
 性への目覚めは、私を人生の快楽へ導くものなどでは決してなかった。性への目覚めは私にとって、どこに行っても逃げとおせない絶望的な場所へ向かう道の始まりだった。

奇跡

どう転がっても地獄ですよ。ええ、地獄ですよ。断じて、地獄です。
俺は森林を下山した。新幹線で下山した。
東京へ、行きたかった。が、着いたら気付くと俺は千葉の錆びれた町にいた。街を歩いていたぼやぼやと。
そこは過去の恋人の町であった、彼が好きだった黄色い銭湯を俺は覚えていた。
何故ここに来たのか俺は知らないがどんなに歩けど灰色の空が一番印象的だった。
俺は疲れて駅を探していた、帰られる駅を。駅は容易にあった。
俺は何故宛てもなく東京へ行ったのだろうか。そこには誰もいなかったのである。
東京で待つ人、待ち人は存在していなかったのである。
俺はただ生きてる時間を潰すために東京に向かっただけであった。
千葉での思い出を少し思い出した。
俺は母親が欲しかった。
仮の母親、俺は自分の記憶の内に「お母さん」と呼んだ記憶がない。
その「お母さん」と初めて呼んだかのような人は千葉にいた。
そんなことをぼんやり思い出してはその仮の「お母さん」の胸に抱きつきたい思いに駆られたが。
実際は俺は抱きつくこともできなかったのである。
俺は母親に抱きついた記憶がない。
記憶がないからそれがなかったことではないのは知っているが、なにゆえにこうも俺は仮の母親を捜し求めずにはおれないのであろうか。
俺はもう戻れない。
どんな生き方をしようと、俺の母親のいた時間に戻れない。
俺は本当に母親がどのような存在であるのか忘れてしまった。
母親の愛はどのようなものであるのか全く思い出せない。
もうこの世にはいない俺を愛してくれる存在は。
なのに俺は何故生きているのだろうか?
愛された記憶もなく愛される未来はないこの世に何故俺は生きねばならないのか。
愛される、かもしれない、という愚かな幻想にすがりついて生きるだけである。
夢は確実に醒めるのに自分の思い描く幻想から醒めようとはしない厄介な魂だ。
醒めれば、もはや生きてはいけないからだ。
幻想が、どうしても、必要であった、人は。
しかしそれが死ぬまで叶えられないものだとわかっていた。
生き抜くために無理矢理に描いた幻なのだと、知ってはいたのに知らぬ振りを上手くやりこなせたのは、やはりそれも生き抜くためだったのだと俺は夢のように生きるこの世界の中に生きながらぼんやり認識して、一息を着いたりする。
俺は貴方が生きていることに奇跡に思う。
それは俺があなたの苦しみがどんなものか知らないからである。
ただその奇跡が失われることが惜しいと思うのである。
軌跡が失われることはないと俺は思ってるがその軌跡を続かせていることは確かに奇跡である。
俺はまだまだ生きていこうと思う。
俺は俺自身がこの世で苦しむことは良いことであると思えてきた。
苦しむためにしか生まれてこなかったと思えてきた。
では苦しくないほうが、ダメである。
俺は確かに、いいえ私は確かに、私の父は、私のせいで死にました。
我が半生の続きを、今から貴方のために、書こうと思います。
私を知ってください。

棚機伝説

午後の昼下がりに起きて、何かふと鼻の穴からアメーバ状の白く綺麗な鼻糞が鼻毛を混じらせながら、いや、絡ませながら、否絡まりあいながら楽しそうに僕の手で引きずり出された。嬉しかった。僕はまさかそんな綺麗な鼻糞が僕の鼻の穴から出てくるとは夢にも思わなかった、いや夢にも思えなかったんです。綺麗だった。朝ごはんはバナナを食おうと思っている。信じられない日に僕は生きてるのかもしれない。でも牽牛(けんぎゅう)って牛引いてそう。いっつも牛引いてるからみんなから嫌われてた。なんであいついっつも牛引いてんねん頭おかしいんとちゃうか。此処で僕はコツ矢を飲む。間違えた紅茶を飲む。牽牛は何故自分でも牛をいつも引いているのか、わからなかった。そして僕は此処でバナナを食う。バナナはいいカニに違ういい感じに麒麟さんになってたよ。牽牛は思った。俺ひょっとしてもしかして約1%の可能性と評してまさかの阿呆なんですかね。そんなまさか。いや、まさか、でも僕俺は牛を引くことがやめられない。何故か。やっぱり何か楽しい、嬉しい、俺はだから無意識で牛引いててさ、無意識のこと意識でわかろうとした俺が阿呆やった。此処で僕はバナナの筋って渋いよなって思った。牽牛はそんなこと考えることが阿呆に決まってる。ここで僕はバナナの皮を大きなゴミ袋に入れて捨てると、あバナナ食うたんだって丸解りではずいよなって思った。牽牛はもうそんなこと考えるのよそうぜって自分に言い聞かせたその瞬間牛もモウと応えた。とにかく俺は牛を引きたいから引いてるんだそれの何悪いかユダヤのことわざに人の立場に立てない者は人を批判できないって言葉が在るのを知らんのか馬鹿め葛めそういや葛入りの素麺買ったないつ食べようかなまあなんでもいいなんでもよろしいけどさあ俺はしかしいつまで牛を引いてるのやろう。牽牛は牛の背を撫ぜながら遠くの灰がかった山を一望して股間の辺りが泣きそうになった。俺の目は股間にあるのかなって牽牛は思ってせつなく。

ちょうどその頃、津女(つめ)という棚機(たなばた)で織ることがやめられない女が機を織っていた。津女は真に夭鬼に憑かれたようにして何も考えず織り続けているのでそんな津女を知る者はみな心配が絶えなかった。津女が機を織り出したのは実に五才になった夜明けからで村の者はきっとその時何者かが津女に取り憑いたに違いないと考えた。津女は機を織ってないときもいつもボーっとした女で何度御祓いをしようとボーっとしたのが取れなかった。神主は何度やっても同じなのでとうとう「これたぶん性格やでー」と家の者に向かって言った。その時、津女がにわかに「ぽほ」と不気味に笑った顔が家族全員のトラウマでそれからそこの家のもん全員が医者に掛かっているという。そんなある日、津女は折り畳み持ち運び式の棚機を背にしょってどこか静かなところで織りたいと思って外へ出た。そうしてさっきまで快晴だったのにだいぶ歩いたらへんでなにやらぽつぽつ雨が降り出してきて津女はぼーっとしながらも棚機が濡れてカビ生えるのは避けたいと感じどこか雨をしのげるところはないかと見て探して走った。するといい塩梅に川がすこやかにザアザア流れたる側に牛小屋があるのを見つけた津女は「ぽほ」と不気味に笑うと中へ駆け込んだ。中には黒い牛が一頭「誰?」というような顔をして津女の顔を見た。津女は棚機を背から下ろすと蚊の鳴くような声で「あたいは津女だ、そうゆうおまえはなんと申す」と牛に向かって訊ねた。牛は津女を横目で見ながら「ンモー」と鳴いた。「ンモか、いい名だ」津女はそう言うと積み重ねておいてあったたくさんの藁を床に敷いてそこに座ると機を織り出した。雨の降りしきる音に機を織る音が心地良く交じり合いそれは大地が生まれる前の音楽を奏でてるようでいつしか私を夢の中へと誘う、と牛は牛なので思うこともなくただ干し藁をむしゃむしゃ食って屁をこいた。そうして一定の刻が過ぎたときである。津女は眠くなってしまいぱたと機織りをやめると藁布団をこさえ藁をかぶってすうすう寝だした。

その頃、牽牛は自家の縁側に胡坐をかいてバサバサ降ってくる雨を見ながら牛のことで頭が一杯だった。俺の牛は今どうしてるんだろう。俺はずっと牛を引いていたかった、でも何故やろう今日に限っては牛と離れていたい感情が俺の中に現れて。俺とあいつは今、離れてる。離れたくなかった。でも、離れてる。これは一体どうゆうことなのやろう。日が暮れかけてきてる、あいつは黒い、夜になれば夜も黒い、あいつも夜も黒くて、まさか、あいつと夜は一体化しようとしないよな、一体化すると俺はこれからは夜を引いて歩かねばならん、そんなん、めんどくさい、俺が夜を引くと、俺から離れた場所は朝や昼になるから、ややこしいことすな、とみんなから怒られそうだ、怒られないためには俺は夜をちょうど夜明けの時刻に合わせて引いていくことをしなくてはならん、しかしそうはしても俺の周りは夜だから朝や昼の時間は俺はどこに行けばいいのだろう、人のいない山奥にでも行けばええやろうが、しかし夜はいったいどれほどの大きさなのか、夜を、牛になった夜を引き連れて歩くことが出来ないのなら俺はいっそのことおっちんじまいたい椿事舞いたい、つまり思いがけない重大な一大事の中、舞いたい。俺は牛となった夜の中、舞いたい。しかしもし夜が牛になったら、牛以外はずっと朝で昼だから、それもいろいろ文句言われるんやろな、夜が好きだった奴は俺の牛を盗もうとするかもしらん、あんなに俺と牛を馬鹿にしていたくせに、牛が夜になった途端きっと欲しくなる奴が出てくるやろう、俺はそうなったら一体どこへゆけば牛を盗られずに暮らせるのやろう、俺はいますぐ牛を連れて帰るべきかも知れん、しかしなんなんやろうなぜ離れたい衝動が俺の前に行く手の門を閉じるのやろう。牽牛は一升瓶の芋焼酎「牛魔」を瓶のまま呷ると縁側に仰向けになって胸に手を組み目を瞑った。

その宵の晩、牽牛と津女と牛は同じ場所にいた。それは牽牛と津女と牛の夢の中である。
天の川の真ん中で機を織っていた津女のもと、牽牛が牛を引いて側を通った。それを見た津女ははたと立ち上がると通り過ぎようとする牽牛に向かって「待て」と言った。振り向く牽牛が「はて、なんだ」と訊ねると津女は「それはあたいの牛のはずだ」と言う。牽牛はあまりに突然の悲しみに襲われ胃が急激に酷い下痢の痛みのようにぎゅるぎゅると言った。しかし野糞をしてる間に女に牛を連れて行かれては敵わん、ここはぐっとこらえ脂汗をたれたれ流しながら「そんな、あほな、まさか」と応えた。津女はそんな牽牛を見て「ぽほ」と笑いそれを見た牽牛はなんと不気味なおなごじゃろうと股間がぎゅっとした。
「ならこうしよう」と牽牛は震える声で言って「牛に聴けばわかることじゃ」と津女に向かって、どうじゃという顔をした。「それはどうゆうことや」と訊ねる津女に牽牛は牛の額をぽんぽん叩きながら震える口元で「ははは、こいつがどっちを選ぶか、っちゅうことやんけ」と応えた。津女はそれを聴いて悔しそうな顔をしたがすぐに「ではそうしよう」と言い牽牛と津女は真逆の方向へ牛から離れて歩いていった。牽牛は元来た道を後戻っていき、津女はその逆の方向へ進んだ。そして双方から「おーいあたいの牛」「おーい俺の牛」と呼ばわった。牛は目の前から呼ぶのは津女であり、後ろから呼ぶ者もいるがいちいち後ろを向いて歩くのも面倒に思ったか素直に津女のほうへ歩いていった。これを見て牽牛は開いた口が塞がらず脱糞しかけたがなんとかこらえた。牽牛はのそのそと津女と牛のほうへ歩いていき「やっぱり、やめよう」と言った。
「違う方法のほうがいいと思う」と牽牛は津女に向かって言い、「そうよ、ここはやはり神さんに決めてもらうのが一番いい思うんよ」と牽牛は夜空に埋め尽くす星を見上げて言った。そして天上を指差し、「な?」と津女に言うと、津女もきらきら瞬く星に圧倒され「じゃあそうする」と応えた。すると何を思ったか津女はつたたたたと元いた場所に走って行き、また機を織り出した。牽牛は神が降りてくるまですることがなく、仕方ないので天の川を牛を引いていったりきたりした。

そうした夜の晩、天の川に神は訪れた。津女は織りあがった織物を神に渡した。神はその場でそれを着て見せて、非常に喜び、御前は我が妻になるようにと命令した。津女は「あなたの妻になればあの牛はあたいの物になるか」と訊いた。神は「なんでも御前の欲しい物を御前にやろう」と言った。「ならばなる」と津女は言い、津女と神は契りを交わし、その瞬間に津女は神の子を身籠った。そんな様子をまるで悪い夢でも見ているかのようなぼんやりした思いで眺めていた牽牛は津女と契った瞬間に消え失せてしまった神に同じようにぼーっとして丸まって横になった津女の元に静かに歩き寄るとそこへ胡坐をかき「よかったら俺が神の子供を神の代わりに育ててやろう」と言った。
津女はこの世の何より美しい神と契った後に観る牽牛のなんという凡庸さに悲しみ以上の可笑しみを感じて不気味に「ぽほ」と笑うと起きて牽牛に抱きつき「うん」と言った。
こうして二人はめでたく夫婦となった。
この話を基にしたのが棚機伝説であり夫婦の深い愛の神話として今の世に言い伝えられている。

○人

是臨写大学の夏期中間筆記試験 15点数以上合格。

以下の文の○の中に当てはまる言葉を、恋・変・蛮、の三つの中から選びなさい。

問題:1,僕にやっと、○人ができた。彼はいつも僕のことを思いやってくれる素晴らしい○人です。

問題:2,○人は僕に言った。
○人「ドミニワク共和国の中間試験を受けようと思ってるのです」
僕「受かるといいですよね」
○人「はい」
僕「好きですよ」
○人「私もです」

問題:3,今日はいい曇り日和だ。僕は早速愛したばかりの○人と一緒にピクニックへ出かけた。
気が滅入った。僕の○人はイルカ風だったのだ。何故なのかと僕は○人に訊ねた。
○人「どこかのイルカが今朝わたしに言ったのです、『そんなに無理して生きなくてもいいんだよ』って」
僕「で、イルカですか」
○人「はい」
僕「ならしょうがないですね、さ、あの丘を超えましょうよ」

問題:4,未知なる探検に私が○人と共に旅をしたのはそれから数ヵ月後のことである。
約5年前から○人である彼はわたすぃを愛していると言ったものの近年メソポタミア文学にはまっており、私が本当の意味で彼と言う人物に興味を抱いたのはここ6日前からであった。
しかし彼が本当に愛しているのはメソポタミア文明であり、何故そのような小癪な嘘をこの私に言うのか私はさっぱり理解せぬ。まぁでもそこが彼の魅力でありさすが○人だと私はいつも鼻高々な思いで煙管を吹かしつつインギン最中を食べるのがここ数日の私の至福な午後の惨敗に似た観念である。
そうは言っても○人は○人なのだから、もう少し○人らしくしたらいいものを彼は私の前で屁もこけないほどの繊細な心の持ち主であった。私はそれを褒めることもしなかったがあえて非難することもないまま時は二十五年、私は彼が本当に○人なのかと信じられない気持ちになるなどまるで処女にでもなったように彼の暮らしを日々ときめきを湛えて見つめる日がある。
しかしここで負けては民族派苦学○族専攻大学専門助教授の名があやしまばれるので、どうにかこうにか心身を強く持ってアフリカに彼と旅立とうと思っている。
そこで野宿した3晩目、やはり、彼は私の生涯ただ一人の○人だった。

問題:5,「ええ、彼は○人です」僕は家族全員の前で、そう打ち明かした。
家族みんなが顔を青くして、各々の顔を見ては目をしば立たせた。
「僕は彼を心から尊敬してるんです」そう自信を持って言うと一番下のまだ七つにもならない弟が歯抜け顔で「はぱぱっ」と笑った。
僕は一瞬むっとした。一体何がおかしいのだろう。彼のどこがおかしいんだ、こんなにも素敵で立派な僕の○人なのに。
僕は正直に家族みんなに向かって堂々と言ってみせた。
僕「あなたたちは、では一体これ以上の何を彼に望むとおっしゃるのですか?!」
今年中学三年生になったばかりの弟が真剣な顔で言った。
弟「僕は兄さんには、もっとこう、尋常な人が良いと思われます」
僕は目を剥いて驚きを隠せなかった。
僕「なんだって?!尋常って、彼は、彼はとても尋常な○人だよ、彼以上に尋常な○人など何処にもいないさ」
溜め息混じりに頭を振りながら弟は返した。
弟「僕の目には、そうは見えないのです、兄さん」
僕「おまえにはまだわからないだろうよ、もう少し人生を学んだら、きっとおまえにも解るさ」
弟「だ、だって・・・!オマルなんて・・・」
そう言い掛けた弟の声を背に感じながら僕は無言でリビングのドアを閉めた。廊下の出窓には外ではいつから降り出したのか、雨がまるで、彼のいつしか見た涙のように細く、細く、垂れ流れていた。

問題:6,土砂降りの雨の朝、傘も差さずにやってきた○人は僕に突然玄関に上がりこんで、こう言った。
○人「お願いしますお願いしますお願いします!!!一度でいいのでどうかわたくしと、本当の意味でどうかわたくしと、せっ、せっ、せっっーのよいよいよい、ではなくしてですね、せっ、せっ、せっく・・・・・・く・・・」
僕「節句の苦を読みたいんだね?いいさわかったよ上がりなよ珈琲でも飲むかい?」
○人「はい、ありがとうございます」
○人「ふしだらな 玄関さわぎ 一物の 狂おしさには 織り姫待てぬ」
僕「なんか言ったかい?」
○人「なんでもありません」
僕「そういやあさっては七夕だね」
○人「そうですね」
○人「七夕や 星落ちるまで 果てられぬ 彦星の棹 届かせようぞ」
僕「なんか言ったのかい?」
○人「なんでもありません」

問題:7,最近なんだかぁ、あたしぃ、彼が○人だったらぁ?なぁんて空想妄想想像?にふけっちゃうんですよねぇ、たは。
んもぅ彼が○人だったらぁ、もやしで作ったあたしのミサンガぁ?はめるんですけどねぇ無理矢理ぃ。
なんかぁ、似合うぅーって思うぅってぇ、あ彼から電話。ちょごめーぇ、またあとでうんうんーっ。
あたし「もしもし?」
彼「あ、俺です。ごめんこんな夜遅くに電話して、起きてたかな」
あたし「はい、起きてましたよ、で、なんですか?ご用件のほうは」
彼「いや、用件ってことのほどのこともないな、うん、ない、ないけども、あのあさって七夕だよね、七夕祭りって近所であるんだ、ほらあの絶倫神社ってところでいつもの、それ、行かないかな俺といっしょにできたら」
あたし「行きません」
彼「そうか、残念だな、あ、じゃあさ、明日、俺と一緒に銀行強盗に行かないか」
あたし「行きます」
彼「メソポタミア大陸の真ん中にある銀行に」
あたし「行きます」
彼「宇宙操作の人倫機がいつでも宙に浮いててね、死ぬほどヨークシャテリアに噛まれた痕をいつでも見せてくれるんだって、一緒に見に行かないか俺と」
あたし「見に行きます」
彼「好きだよ」
あたし「はい、終わり」
あっもしもしぃ?あたしあたしぃ、うんいいのいいのぉほんと彼が○人だったらぁそう思うとぉ夜も眠れないぃってゆうかぁ幸福すぎて死にそうだよぉって感じぃ?でもまだ彼○人じゃないからぁ、うん、違うんだぁ、まだ○人にはなってくれなくってぇ、なってほしいんだけどぉ、あ、また彼から電話、あ、またあとでかけるぅ、すまぽぽぽーん、まったねぇ。
あたし「なんですか?」
彼「俺の血潮がお見舞いしたところを見ましたか?」
あたし「見てません」
彼「惜しいですね、るんぱぱ。大豆みたいな顔なんですけどね、炒る前の、炒る前の」
あたし「ほぉ」
彼「で、有給を取る為には有給踊りっていうのを踊らなくてはならない会社に僕は今日転職したのです。それは有給踊りをどうしても人々に見てもらいたかったからなんですよ。でもその有給踊りがどんな踊りなのか僕は知らなかったのです」
あたし「で?」
彼「ええ、で、るんぱぱってさっき、つい言いましたよね僕。実はるんぱぱ踊りという踊りなんです。」
あたし「で、どんな踊りなんです?」
彼「ええ、それはですね、ある名の知れたナイトクラブで50年踊り続けたルンパパって人物が50年かけて完成させた誰一人からも目を留められなかった、すべての人々の目を避け続けさせた、呪われた踊りなんです」
あたし「ほぉ」
彼「それをわずか一分間でも見続けてしまうと発狂して錯乱死するであろうと誰かに言われてる死の踊り、まさにデッドダンスなんですね、デスダンスとも言われています、またはデカスカタンダンスとも誰かに言われています、でも誰かはいい間違えてデカダンスカスカスタンと言うそうです。」
あたし「なるほど」
彼「まぁその踊りをね、僕は今日入社したばかりですが、今日から練習し始めました、実はそこの社長はルンパパの曾孫に当たるパパナイスって人物だったのです。若干、ルンパパ踊りにどうしてもひ孫である自分の踊りの癖が入ってしまうようで、直々に今日社長に特訓されたのですが、何度か、社長に「あ、そこパパナイス、あ、そこもパパナイス、どうしてもね、わたくしの癖が入ってしまってね映っちゃうよねしょうがないよねほんと」と言われ僕もたじたじでした。で、君が好きです。」
あたし「私も」
彼「るんぱぱ」

心に燃ゆる火

コーカサス大かぶとへ
ぱーぱんがーかぶ食うてーぽぷくぼぉパンでくべたぁー
ここで経験地がぎゃりぎゃりぃーん。
しんどいからって煎餅食うな。
理由も聞かずに煎餅食うな。
こんちきちんよ、煎餅食うな。
行政が悪化して夢精した。
蹂躙するように醤油を注してほしい。
煮る前の逢魔時に。
象も眠れば内定に受かる。
股関節が道徳を知る。
チルアウトした夜明けに延焼した絶滅寸前のワラジムシの町。
海底火山に報告しに行った蒲鉾になる直前の魚類の胸についた寄生虫のケツについたゴミの原形だった高島屋の饅頭の包み紙の端くれだった前の野川さんをご存知ですか?
彼の遺言は「寝間着で太平記を読んだ憶えは本当にないんです。そんなすごい人間ではなかったんです。ダムの水、美味しい。」でしたね。
寓話の中に入り込んで血みどろな関係をある人と持ちましてエンストのあげく帰りに油揚げを買うて帰った記憶があります。
中でもその知人は夢を見ていて「硝子のようなずんどこ節」といつも言っていた。
そんな知人が死の間際に言い残したことは「ズッキーニがあれに見えて仕方ない」という言葉だった。
「あれ」とはジャマイカのパーカッシャーがいつも叩いてる南米に良くある楽器を打つスティックのことだとわかったのはそれから八十年後のことである。
瞬きする間に人生が流れてった。
松明を両手に持って僕の周りを踊っている貴方は誰ですか?
獰猛な眼つきが素敵ですね。
火は熱いですが水よりは怖くはありません米ぬかのお風呂もいいですね。
転生したら相談したいことがあります必ず僕をハムスターと呼んでください。
農林水産省のハムスターと呼んでください。
昔の君はそんなじゃなかった。
がんもどきみたいな顔を何故するの?
金塊の膿みが全身から吹き出て蓋付のタッパーに大根の漬物をたくさん詰めた。
涙を流すほどの喜びを知るよりも農林水産省のハムスターになりたい。
巨大なエリンギと相撲をとる夢を見た朝、僕は夢精を覚えた。
巨大な赤ピーマンと電話する夢を見た晩、僕は自由を捨てた。
巨大なキウイフルーツに欲情する夢を観た日、僕はオクラに謝った。
その70年後に死んだ僕の言い残した言葉は「ガガーリンってオクラがほんまは好きやったんやろ?」という言葉だった。
キュウリより

終わりのない孤独

だいたいサラダ指みたいな子が側にいたら何をしてやれるんだって思うしな。
何かしてやりたいってのと、愛してるんだってのは、それを見てもわかると思うんですよね。
やっぱり優しくしてもサラダ指は悲しいままなんじゃないかって思うんですよ。
だから優しくするのと愛するってのは大きく違うかなって僕は思いますね。
ただあれですよね、サラダ指が優しくされたがってるのならやっぱ人間として優しくしてしまうのが人間なら、そこは優しくしてしまうのはわかってます。
サラダ指はでも僕は愛を求めてるんじゃないかって感じるんです。
やっぱ愛されたいって思って、まあ英語なんで何ゆうてるかわからないんですけどね。
愛に飢えないとあんなに歯ァボロボロにならないかなって直感として思って。
ま、空想の域を超えないことはわかってますよ、そんなことは言われなくともわかってますよ、なんですか?あなた。
横から口出しするあなた、なんですか?
そうゆうあなたはサラダ指が何求めてるかわかるんですかっ。
わかるはず、ないんだ、あなたになんか、あなたになんか、あんたなんて、僕を侮辱したいんですか?
僕はでも、あ、ほんと、好き?
もしかしたら彼は僕以上にまともなことを喋ってるのかもしれない。
やってることは確かにおかしい、死体を友達にしたりね。
気ィ狂ってんねん、あいつは確かに気ィ狂ってんねん。
実際リアルにおったら、怖くてしょうがないかも、しらん。
でも人間はなんと慈悲深いんだろう?そんな彼のことが、好・き、という人たちがたくさんいる。
実際リアルに会うたら、気違い扱いするだけかも、しらんが。
まあ二次元だし、自分に利害はないって得もないんかいってゆう。
まあ特に得もせんが損もせんので好・き、とかゆうてられるの?君達。
ぼかぁ怒ったよ、そんな次元で愛しちゃあいけないんだね。
二次元といえどもサラダ指は今でも呼吸してるかもしれないんだよ、あのじめじめねっとりした暗い部屋の中で。
意識を持って活動してるかも知れないんだよ。
俺?俺は、あいつ、好きだぜ。え、なに?危害を加えられてもそう言えるかって?
言えないだろ、そりゃあ。怖いよ。
離れたところから観ていられるから言えるんじゃないか。
しかしあれ、ただ共感っていうのかな、あの子の寂しさや慢性的な空虚感やもしかしたら喪失感愛情飢餓感、空腹感みたいなものに僕は解るよって言ったんだよね。
なんか、終わりのない孤独を、観た。
あの世界に。
ああ、俺もそこにいるよ、って無意識に言ってたんだ。
でもさあ、そんなあいつに俺、何してやれるのかって、なんか、ああ俺してやれること。
俺それ探そう。
でも俺あいつ何言ってるのかたぶんずっとわかんないんだろな。
まあいいや。
空想上で繋がってるし。
誰とも。
誰とも。
俺とも。