先生、でも死ねないんです私。
先生、人は死ぬことが出来ないんですよ。
先生、これは嘘ではありません。
先生、僕は知ってるんです。
先生、人はどうしたって死ねないんですよ。
先生、だからボクは死にたいんです。
先生、死ぬことが出来ないから僕は死にたいんです。
先生、死ねないんです。
先生、もし人は死ねるのなら僕は死にたくなどならなかった。
先生、ボクはこの宇宙の法則に逆らいたいのです。
先生、ただそれだけなんです。
先生、人は死んでしまうものなら僕は生きたいと願った。
先生、何故人は死ねないのですか。
先生、それじゃまるで人が死にたくなるために人は死なないみたいじゃないですか。
先生、人は死にたくなるんです。
先生、ボクは死など望んじゃいない。
先生、僕は思うんです。何も望まなくなったところが死なんじゃないかと。
先生、だからボクは死さえ望まない!
先生、このまま行けば僕はきっと死ねる。
先生、死ねますよねボクは。
先生、嘘でもそう仰って下さい。
先生、あなたの別名は神という名だと聞いた。
先生、あなたは何も応えない。応えたら嘘になってしまうから。
先生、でも僕は思うんです。あなたが人間なら良かったと。
先生、嘘でもいい、声を聞かせて欲しいと。
先生、ボクはあなたを支配する。すると声を聞くことができるようになるだろう。
先生、僕はあなたの奴隷だが、僕の奴隷はあなたです。
先生、僕の世界は僕が支配します、この世界は、死ねないんです絶対に。
先生、僕はきっとこうして死へ向かう。僕の支配した世界に僕が反抗するためにです。
先生、僕はそれが本当に楽しい、愉快だ、快楽だ、悦楽官能恍惚甘美、それが、死です。
先生、この世界には希望しかない。それはたった僕一人だけが死ぬためにです。
先生、私が死ぬとき、きっとあなたも死ぬのです。
先生、それが僕の最高の喜びである。どうしてそれを拒みましょう。
先生、僕と貴方は一体なのですから。僕は貴方の為にこんなに自由なのです。
先生、でも僕は思う。死は退屈と縁がない。僕は最近、退屈というものが好きです。
先生、でも退屈は退屈以外を望まない状態なのです。
先生、死の底へ落ちても人は何かを想うのでしょうか。例えば…フライドポテトは体に悪いが美味かったな、等と思い出すのでしょうか。いったい、それのどこが死なのでしょうか。
先生、どうか私をお憐れみください。永遠に私を。
敬白
- 関連記事
-
-
夜が巨大な死体 2014/07/12
-
奇跡 2014/07/08
-
棚機伝説 2014/07/06
-
○人 2014/07/05
-
心に燃ゆる火 2014/07/05
-
終わりのない孤独 2014/07/02
-
俺の逗子 2014/06/20
-
拝白、先生 2014/06/14
-
糞な夢 2014/06/13
-
BUTTERFLY KISS 2014/06/04
-
今夜、死灰。 2014/05/30
-
平行線は白蛇の酔夢を見るか? 2014/05/29
-
外道たちの記録 2014/05/14
-
景色 2014/05/09
-
役立ち紛れに、この頭をこづいて 2014/05/09
-