不明な場所
死んでくれよ、死んでくれよって涙流して頼む、頼むから俺死んでくれよって俺は俺に泣き縋る、俺はもう死にたいと思うことがなくなった、俺は君に愛してくださいと言う代わりに俺に向かって死んでくれと言う様になった、俺は愛する人に愛してくれと思うことがなくなった、俺はその分自分が愛おしくてならなくなった、死にたいと一瞬でも浮かばせるならそれが言い終わる前に死んでくれと懇願するようになった、死のイメージはどこにもなかった、死などどこにもなかった、死がなくて生だけがあった、死を失った生は、それだけで死でしかなかった、死以外のなにもの、でも、そうだ君は生きている、それは死んでいるということだよ、いや死んでいる、だから君は生きている、死を亡くした今、君はやっと死ねたんだ、それが生きているということさ、俺は生きている、それは滅びることのない死だから、生命が息絶えることのない死、俺はどうしても生きたかったんだ、俺はどうしても死にたかったんだ、どうすればいいのかわからなかったんだ、二つは違うものだと思っていたから、でも同じものでしかなかったんだ、俺は同じことを思っていたんだ、たった一つのことを、たった一つのことだけを、俺は確かに今生きている、それは俺が確かに今死んでいることだった、どうすることさえできない、俺は生きる意味を失くした、そして俺は死ぬ意味を失くした、俺は生きて死んでいる死んでいるから生きている、これ以外にどこにも俺は行けないようだ、俺はもう本当にどこにも行けない、生も死も俺の中にあるのだから生と死以外のところがどこにもないんだ、どこにある?あるなら教えて欲しい、俺を導いて欲しい、俺に合った場所がここなのはわかっている、でも誰かいないのか、誰かいないのか、誰か、誰か、俺の手を引くものは、どこにもいないのか、俺にあった場所から俺を奪う者はいないのか、俺に会う場所、俺に在った場所で俺に会う、俺はそれを待ってた、俺はそれだけを待ってた、生でも死でもない俺に会う場所、どこにもないのか、俺に合った、俺に会った、俺はやっぱりここに俺はいないような気がする、俺に合う場所は俺に会う場所のはずなのに、俺はまだ会ってない、俺はおまえに会いたいよ、俺なんだろう?おまえは本当の、俺はいつかおまえに会うよ、不明な場所で。