昨日はとても絶望的な気持ちになった。今も絶望的だ。僕の好きな人は僕を好きだと言ってくれる。問いかければ毎日でも言ってくれるとても優しい人だ。彼は僕に子供ができたら結婚すると言ってくれた。それはなぜかと訊いたら彼は子供のことが気がかりだし、子供一人に責任を押し付けたくない、と応えた。僕はそれを聞いてからずっと絶望的な気持ちでいる。彼が僕と結婚する理由の中にはただのひとつも僕に関しての理由はなかった。僕が心配だからとか、僕が好きだからとかいった理由はどこにもなかった。彼が僕と結婚する理由は子供に対しての想いだけだった。僕は決して幸せになりたいとは思ってないけれど僕の将来に待ち受けているかもしれない奇妙な苦しみを思うとひどく沈んだ。僕はきっと彼の子供を愛することはできないだろう。僕の愛する彼は僕よりも子供を愛しているのだから。僕はきっと子供に嫉妬して虐待をするだろう。そして彼を恨み続けるだろう。僕の子供への僕の愛を奪った彼を。そして彼への愛を奪った僕と彼の子供を。僕は決心をした。もし、僕に子供ができたら、僕はこの子供はほかの男の子供だと言おう。それは彼が僕の子供に関心を持たないためだ。僕と彼の子供が僕だけの子供になるためだ。そして子供にこっそり僕は言う、おまえの父親はほかにいるのだと。でもパパには内緒ね、パパはそのことを知らないの、ママはパパを傷つけたくないの。すると子供はそれからは彼を哀れみの想いで眺めることだろう。これは僕の数十年かけてやり遂げる報復である。そして子供が30歳を過ぎれば僕は本当のことを教えるんだ、お前の父親は実はパパだったの、ってね。子供は僕を恨むだろう、そして何十年と父親を哀れみの顔で見続けた自分に対し言いようのない悲しみと憎しみに泣くだろう。僕は彼と、彼の子供に報復するために今、やっと、生きてゆく意味を実感し、希望に充ち満ちている。
僕はそんな君と青空へ延びて行く階段を上ってゆく夢を見る。