少女が展開してゆく

女の子の子供が欲しい

母が私にできなかったことが多すぎる

母ががんを発病したのは私が二歳の頃

その二年後に母は他界した

私と母の間に思い出が存在しない

母は死んでしまったのだから、母の中にも

私の記憶がない

女の子の子供がどうしても欲しいのだ

それは私の子供時代を取り返そうとしているのだろう

母と私を、その中に生き返らせようとしているのだ

私が母になるなら、彼女は娘だ

娘に自分を重ね、自分に母を重ねる

私には女の子の子供がどうしても必要なのだ

私は母親にならねばならない

私は母が私を育てられなかった人生を

生きなくてはならない

私は女の子を産まなくてはならない

少女を育てて一緒に生きて行かなければならない

少女が展開してゆくならば

母の続きさえも展開してゆく

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