光るみなも白い空 | 「いのちの食べかた」 森 達也

「いのちの食べかた」 森 達也

森 達也の「いのちの食べかた」を読んだ。


いのちの食べかた (よりみちパン!セ)いのちの食べかた (よりみちパン!セ)
(2004/11/19)
森 達也

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わたしは牛と豚と鶏が屠畜されている映像を観てから食べなくなって3年になる。
それからさまざまな肉食に関わる本をたくさん読みたい、読まなくては、と思って何も読まずに3年が過ぎて、初めて手にとって読めた本がこれだった。

読むのがつらいから、もうきっとそこには、私の知っている事しか書かれていないだろうから、私はもう肉食をしないのだから、無理して読まなくていい、はずだ。
そんな気持ちが確かにあった。
だからどんな本も手に取らず3年が過ぎ、やっと手に取れたこの本の中には、私の知らないことばかりがたくさん書かれてあった。

私はこの3年、屠畜される家畜たちを思って何度も流した涙はあるが、屠畜する人を思って流した涙はなかった。
でもこの本を読みながら、びしびし伝わってくる森達也の強い訴えと大切な言葉と、屠畜する人のつらさを思って何度も涙があふれた。

屠場で働く人たちが差別されている事を、私は知っていた。つもりだった。
でも本を読んで何もわかってなかったんだと気づいた。
ただの知識としてしか知らなかったからだ。
それから、知ろうとも、わかろうとも、しなかったからだ。
絶対的に肉食に反対する強い気持ちを持ち続けるためにも、彼らに情を向けることを避けていたように思う。

でも、そもそも肉食をやめたのは、人間たちの苦しみに耐えきれなくなり、この世界の救いを本気で望んだからだ。
家畜たちだけを救うためじゃなかった。
でもいつしか屠畜する人たちを心の奥で差別して、憎悪するようになっていた。
どうしてもころされてほしくないから、ころしてほしくないから、ころすひとさえいなければ、いなくなれば、そう願う日さえあった。

30年間、彼らの手を血で汚したのは、まぎれもなく、肉を食べてきた私だったのに。
肉を食べなくなった途端、なぜ彼らを憎悪したか。いいや、それまでも無意識にきっと差別していたはずだ。
今だってそうだ。まだほんとうのところで彼らの痛みをわかってないから、まだ完全に差別する心は消え去っていない。
差別するつもりはないと言いながら、差別している気持ちを抱えている。
まるで、生まれてきたときから、あるように。

肉を食べなくなったって、肉食の問題から離れられるわけじゃない、誰かを差別してしまうから。
誰かを差別して憎悪する気持は、命を殺すわけじゃなくても、心を殺してしまうかもしれない。
人間にとって、とてもとても大きな問題だ。
たった一人でも誰かが誰かを差別したり、憎悪してるなら、平和な世界じゃない。
平和を心から望んで、肉を断ったのに、心の奥で彼らがいなくなれば…と望んでるなんて、恐ろしいことだ。
自分が屠畜する人の側だったら、どう思うだろう。
30年間肉を美味しいと食べてきた人に肉を食べなくなった途端、憎悪され、殺意さえ感じる目で見られたら。
みんなの嫌がる仕事をがんばってやってきたのに、どうしてそんな怖い目で見るのだろう、なぜ憎まれなくてはならないのだろう。そう思うはずだ。
自分と言う人間の身勝手さ、愚かさに、1年くらい仏教の苦行だけをして生きたくなる。

この本は肉を食べる人にも、肉を食べなくなった人にも、ほんとうにほんとうに大切で重要でずっと死ぬまで忘れちゃいけないことが書かれている。
つらいことを知らずに過ごせたら、それは確かに楽だろう。
でも大人になれば、いつの日かきっと知らないことがつらくて、怖くなると思う。
それは知ることが自分にとって大切なんだとわかるから、だから知らないことが怖い。
怖くなれば、もうそこは楽じゃなくて、苦しくなる。
つらいことを知るのは、ほんとうにつらい。
でも知ることができる喜びもそこにはちゃんとある。
だから森達也はこの本を書いた。

この本を手に取る君が手に入れるのは、喜びでもあるはずだ。



大切なことは「知ること」なんだ。
知って、思うことなんだ。
人は皆、同じなんだということを。いのちはかけがえのない存在だということを。

僕らのためだ。そして何よりも、君自身のためなんだ。


「いのちの食べかた」 森 達也




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