生きるに値する価値

俺が間違っているとしてだよ?それで君は楽になるのかい?
俺が間違ってたなら君が楽になる、それはいったいなんだい?
俺は確かに働きたくはないよ、嫌なんだ、どうしても。
君のためだとしても、俺はどうしても働きたくない、やりたくないことをやりたくないんだ。
君だってほんとうにやりたくないならパートをやめればいい。
辞めて、俺を捨てたらいいんだ。
ずるいって君は言うけども、ずるいって、いったいなんだい?
俺が働くってことは、自分を曲げるってことなんだ。
自分を曲げて、君と一緒になるってことは、君と一緒にいるのは、もう今の俺じゃない。
曲がった俺だ。
君が一緒にいたい人間は今の俺じゃなく、曲がった俺なのかい?
もしそうゆうなら、君は今の俺を好きじゃあないってことだ。
働いてくれってことは、君の好きな俺になってくれということだ。
つまり、そこには、その未来には、今の俺はいない。
今の俺を殺すってことだ。
極端なんかじゃないさ、君はいつもそうやって、僕の言い分を理解しようとしないが
僕だって理解してないだって?
僕はしてるつもりではいるよ、でもしてるとは言わないよ。
でもこうやって話し合いをしてることは、理解を深めようとしてやってることじゃないか。
お酒を飲むなって言うけども、俺は酒がないと、駄目なんだっていつも言ってるだろう?
知ってるよ、君がパートでレジを何時間と打ったお金でこのお酒を買ってるよ。
俺は偉そうに言ってるつもりはないんだよ。
君の苦労をわかろうとは思ってる。
夜はスナックで酔った客相手に君のその引きつった笑いを浮かべてるのかと想うと俺だってつらいさ。
俺だって働きたいと思ったら働きたい。
好き好んで働いてないんだ。
俺は我慢すると駄目になるんだ。
俺は駄目になりたくないんだよ、だから働かないんだ。
君がいなかったらどうするかって?そんなことは考えないよ。
考えたくもない。
俺は君がいるからこうして、生きていられるんだ。
別に頼り切ってるわけじゃない。
甘えてるわけじゃないよ。
だから現に小説家を目指してやってるんじゃないか。
やりたいことはやってるじゃないか。
なんで俺をそんなに責めるんだ。
俺だって辛いんだよ。
日が暮れるまでは酒のあてがなくなっても外に出ることもできないし。
何故ってみんな俺を白い目で見るからさ。
ああみんな見てるよ、全員見ている、俺を心ん中で嘲笑ってるのさ。
だから俺も嘲笑ってやるんだ、嘲笑う理由がなくても、俺は嘲笑ってやるんだ。
そうしてると泣きたくなるんだ。
俺が生きて行く場所なんてないんだよ。
君は俺に縛られてると言うけども、俺だって君に縛られてるんだよ。
君がいなくなる世界なんて想像もできない、ってこれはつまり。
君がいない世界にしか俺が生きられないってことじゃないか。
おかしいじゃないか、君と出会うまでは俺は生きてなかったのかい?
生きてはいたよ、でも、いわゆる生き甲斐がなかったということだろう。
辞書には「 生きるに値するもの。生きていくはりあいや喜び。」
「生きるに値するだけの価値。生きていることの喜びや幸福感。」とある。
なるほどな、君はそうゆうことなのか。
そうゆうことなんだよ、君、わかったかい?
俺にとっての君とは、生きるに値する価値であり、生きる喜びであり、生きる幸福感なんだ。
それは君が俺のために働いてくれて俺を食わしてくれるからじゃない。
飲んだ暮れて炬燵で寝ている俺を布団まで引っ張ってって布団をかけてくれるからじゃない。
君という存在とは俺にとって、そんなごちゃごちゃした付随物から構成された存在物じゃない。
君と言う存在は別に俺に何をしてくれなくとも、俺にとっちゃ生きるに値する価値であり生きる喜びと幸福感なんだ。
俺はだから君のそばにいる。
それだけじゃないか。ほかに何の理由も在りはしないよ。
君だって、そうじゃないのか?
そうじゃなかったらこんな厄介で君を苦しめ怒らせてばかりいる僕を君は今すぐにでも放りだすことができるはずだ。
俺はそう思ってたんだ。
だからやりたい放題やってたわけじゃないよ。
だからこそ、俺は俺を曲げたくなかったんだ。
今の俺じゃなくなるのは嫌だったんだ。
人間は変わるさ。そうだよ君の言うとおり、人間は変化して行かざるを得ない生き物だ。
君だって変ってゆくんだ。
俺だって変ってゆくよ。
でも俺は一つだけ言っておく。
やりたくないことをやる覚悟より、やりたいことをやる覚悟のほうが大きいんだ。
つまり、やりたいことをやり続けて、いつか俺は君を失うとしても、俺はやりたいことをやり続けるしかないからなんだ。
俺は君を失う覚悟で、やってるんだ。
それは、俺の生きるに値する価値と、生きる喜びと生きる幸福感を失う覚悟でやってるってことなんだ。
君だってそうさ。君だってその覚悟の上に生きてると俺は思ってるよ。
では人間はどこへ、俺たちはどこへ向かうんだろう?
俺はわからない。
何故、そこまでして、やりたいことをやらなくちゃならないんだろうか。
それは俺がやりたいからだ。
俺は君を失いたくなかったんだ。
君だってそうだろう?
でも、限界が来てしまった、っていうなら、そりゃ、しょうがないよなあ。
やりたいことをやればいいんだ。
君も、俺も。
俺は後悔しない。
いや、後悔してもいい。
それが、俺の決めた人生なんだ。
君も、自分が決めた人生を生きろ。

それじゃあ、去年の6,7,8,9,10,11,12、今年の1,2月の月日を俺と一緒に過ごしてくれて、ありがとう。
元気で、やりたいことをやるんだよ。
さよなら。
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