Manslaughter

生きていたらそれでいいんだよ。
生まれ変わるんだ。生まれ変わればいいんだよ。
全員に生まれ変わればいいんだ。
それができないなら、お前は、死ね。
生き物たちの血だまりの中でまどろんでいたら死神がそう俺に呟いた。
幻覚ではない。いや、これだけが幻覚ではない。俺にとっての。
「全員を殺すつもりはなかったけど、俺だけを殺してしまった」と俺は死神に言った。

「耳があるなら聴いてくれ。俺の味噌は、コロちゃんだったんだ」

俺は死神に今までやってきたことすべてを話してしまおうと思った。
「浄水器から痔になったんだ。トマトチップみたいに前駆運動がお似合いで毛細血管の晴れ着姿は美しかった。エミュー、彼はエミューを飼っていた。エミューが俺に言うんだ。天ぷらみたいな顔してんな、って。ブック・オフ行ったことないような後ろ姿してるよな、って。だから涙を流す代わりに、人の血を流したんだ。でもその血は濁ってた。円形の燃える筒の中に捨てた。何を?何を捨てたか、思い出せない。それは、なんでもないものだった。ガムを噛んだ後に薄く伸ばしたもの、そこに砂糖を振りかけると蟻が寄ってくるだろう?それみたいなものさ。日除け、日よけのようなものだよ、灰色の、伝書鳩が休む場所、それを燃やした。ツリガネソウのつぼみの中に入れたエミューの内臓を育てたかったんだ。それは、生まれ変わって、僕のマザーになる。凍える夏の日に映像を一緒に観ることを約束したんだエミューと、なだらかな流線形の洗濯機がそこにあった。僕とエミューは白い泡で洗われて綺麗な姿で光の傍に干される。階段を上ってゆくんだ。人格の階段を。僕らの人格が海にたどり着くように。洗濯機の中で祈りたいんだ。真黒な血を落として、骨は焼いて、肉は食べつくしてしまって。愛しいから想い出せない。なにも想い出せない。全部、死体に見える。全部が死体にしか見えない。どうして人を殺してしまったんだろう。」









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