アンテナ

田口ランディ原作「アンテナ」という映画を観た

原作がとても好きで、映画も余計なところを省いていて

上手くまとめられていて、加瀬亮の演技もとてもよかった

15年前の妹の失踪、自傷、自慰行為、S&M、幼女愛好癖、壊れ出す家族、狂い出す精神

観ている間は胸が痛む時が多かったが

観終わった少しの間は清々しさまであった

なのに時間が経つと頭の中がガチャガチャ言いだした

この映画の中の家族は救われただろう

でも私の中で私の家族を救えなかった

子供の私が何かを隠しているんじゃないか

絶対に思い出してはいけない何か






そうか、

私はそれを閉じ込めたまま4歳の時に死んだ、母と一緒に

そして、私は死んだ自分を閉じ込めて22歳の時また死んだ、父と一緒に

私もうとっくに死んでいるんだな、

だからこんなに頭の中がガチャガチャガチャガチャ

なんでこんな時に限って酒がないんだ

通りで存在感がないわけだ

通りで本当は幽霊じゃないのかって恐ろしい顔で見られたりするんだ

疲れるな、死んでんのに、生きてる感覚って

だからあっちにも行けない、こっちにもいられないんだろ

宙ぶらりんで、そりゃ疲れるよ、居場所がその間しかない

だから昔からしんどかったんだな

死んだのに生きなくちゃいけないなんてさ、幽霊の気持ちもよくわかるよ

死ってやつがなんなのか勝手に決め付けないでほしいな

心臓が止まるだけが死じゃないってことだよ

私の中のこれは、明らかに死なんだ、死以外の何物でもない

今死んでるんだから、私が生きるには、生まれるしかない

それがどんだけ難しいことか、君にわかるのか

もう一度母親と父親がいなくちゃ、生まれるはずないじゃないか

誰かがその役割をしてくれなきゃ、私が生まれるはずないじゃないか!

アンテナで全て感じ取れるはずなんだ

鉄塔から連なる電線みたいに僕等はいつも何かと

繋がってるんだって知ってるよ

生きてたって死んでたって繋がってるんだよ

そんな風に思えないのかよ

じゃああんたのアンテナが壊れてんだな

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