僕は、一目散に駆けだしていた
そうさ、苦しいことがあるといつもそうしてきた
逃げよう、幻想の世界へ
其処は決して明るい世界じゃない
空は澱み、今にも落ちて来そうだったが
僕の心は晴れやかなんだ
まるで少女になったように、暗い色の草の中
駆け回り、こう言うんだ
「さぁ、僕を捕まえてごらんよ」
さらってくれる人をいつも探しているんだ
一人で遊んで一人で逃げて一人ではしゃいで
冷たい草の中で転げ回って楽しいふりしてさ
そうやって逃げてきた、そうやって来るしかなかった
現実を思い出すと、僕はいつでも泣くばかりの石と化すんだから
動き出すには、まず逃げ出すことができる想像力が必要だったのさ
わかってたんだ、いつも、僕を救うことができるのは
僕だけだって、他に誰もいやしないんだって
そうやって、いつも僕は僕を救いだして来たんだ
知ってるから、誰にも頼らない僕が一番好きで幸せなこと
ここには存在しない世界へ逃げることが一番僕が僕でいられる時間だった
必要で、悲しくも開かれた僕だけの世界
だから夢の世界と、とてもよく似ているから
どんな悪夢も現実から遠い世界なら、どこも僕はいくらか幸せなのさ
そこにいるのは、どこにも存在しないものだらけ
存在してないかのような自分がいるだけ
僕の存在を無視する世界はどこも楽しいのさ
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