閑寂の森

顔の見えない少年が僕の手を引いていた

ほんの悪ふざけしただけだったんだ

それなのに僕は天から見放された

蛇の冷たくて優しいその目を見つめていると

僕の細胞は全て踊りだした

天に召される時はきっと静かなんだ

天使なんかも飛んでいるんだよ

僕が話しているときも少年は無言で

ただ僕の凍る手をその温かい手は引いていた

知らない時間だった

ただ僕の落として来た小さなボタン、それらを

少年の見えない顔の見えない目が強く

僕に「振り返るな」と言い聞かせていた

僕は気付くと泣いていた

僕は大粒の涙をポタポタ零しながら

ボタンをたくさん落としながら

ただただ静かで淋しい森の中を

ただただ温かい手の少年に手を引かれて歩いていた

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