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砂のお城
ぼくがひとりで砂場でさみしくしていたら
君は突然ぼくのところにきて、こう言った
「お城を作ろうよ」
ぼくは嬉しくて楽しくてお砂を小さな手でたくさんかき集めた
夢に見ていたんだ、すごくすごく大きなお城を作ろうよ
そして、いつかそこに住みたいな
楽しそうにお城を作る君の手がなぜ汚れないかをぼくは不思議に思っていた
「トンネル掘ろうよ」無邪気に君は言った
僕は嫌だった
だってトンネルなんか掘ったら、お城がもろくなるよ、嫌だ嫌だ
君はお城を作ることよりもトンネルを掘ることに夢中になっていた
ぼくの手だけがなぜいつも汚れているんだろう
「ほら、もうすぐだよ、お手て届きそうだよ、あともうちょっと」
君の手に触れる喜びがぼくの大切な夢を壊すんだってことを知っていた
「ねえ、もっと君からも掘ってよ」
空がきゅうに低くなってきて、僕はトンネルを掘ることをやめた
そして、お城を踏みつぶした、涙が砂の中に何かの模様を作った
何かはわからないそれが悲しくて何も考えられなくなった
君の手はとても綺麗で、泣いているぼくを見上げて
何も言わず立ち上がって、遠く遠くへ走って行って見えなくなった
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