昔、朝の神で在るアサンと夜の神で在るダヨルクがいました
アサンが眠る時とダヨルクが目覚める時互いの乗った馬車が空で擦れ違いになります
ある明け方珍しくアサンもダヨルクも眠気の中外を見つめておりました
すると互いに目を初めて合わし、その瞬間互いに恋に落ちたのです
それから毎夜明け方擦れ違い様にダヨルクとアサンは相手への想いを認めた手紙を渡し合いました
幼子のようにアサンへの愛を示し続けるダヨルクに冷静なアサンはある日の手紙にこう記しました
「私たちは永遠に交わりを持つことは許されないのです。
私たちが天の約束を破った時この世界は崩壊してゆくでしょう。
ダヨルク、これ以上を望むことをやめましょう。」
その手紙を読んだダヨルクはおいおい一晩中泣いた為、海がまた広がり天は心配なされた
ダヨルクは哀しみの果てに一大決心をし、死の神であるタナトスに命の半分を売り渡しました
そして夜が半分の時間となる代わりにアサンに触れることのできる魔法をもらいました
ダヨルクは急いでアサンに会いに馬車に飛び乗りアサンのドアを叩いた
泣き崩れていたアサンはドアの向こうにダヨルクがいると気付きたいそう驚いた
どうやってここに来たのかをダヨルクから聞いたアサンは
それまで以上の哀しみに打ちひしがれ、ドアを開けてくれと泣き叫ぶダヨルクに
帰りなさいと言いました
アサンとダヨルクの哀しみがあまりに強く大きくなった為、
空は光と闇が交互にうねり狂い激しく点滅しだした
苦しみに耐え切れず自らの手に負えないとわかりアサンはついドアを開けてしまいました
そしてアサンはダヨルクを強く抱きしめました
その瞬間空は紫になりました
アサンとダヨルクは死んでしまったのです
そしてタナトスはダヨルクから買った命で夜の神に身を変えました
闇に死の影が纏わり付いたのはそれからでした
そして死んだアサンとダヨルクは混ざり合い天から見放され死の神となりました
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