でおさんへ

眠っていたよ

夢を見たよ

溺れそうになって慌てて眼を覚ましたんだ

そこはお風呂の中だった

足を伸ばして入っていて、浅いお湯の中で

ずっとそこにいたい気持ちにかられたけど

ずっとそこにいるのも怖いと思った





次は、目が覚めると、お風呂のお湯を湯船に出しっぱなしにして

眠っていて、そこらじゅうが水浸しだった

そこから急に実家に変わるんだ

どの部屋も暗くて、早く水を拭かなくちゃと思うのに

何度電気をつけても、つかなくて

あまりに喉が渇いてて水を飲むんだけど

何度飲んでも喉が渇いたままで

また電気を何度もつけるんだけど

つかないんだ、薄暗い部屋は怖くて

炬燵の布団の中に何か怖いものが潜んでいる気がしたけど

怖くて、それを見ないふりしていたんだ

寂しいさみしい夢だった








目が覚めて、夢を思い返していた

あの湯船の中は、胎内のようでもあったし

棺の中のようでもあったな、って

胎内と棺の中は同じ場所かもしれない



何度電気をつけようとしてもつかなかったことが

とても不安で怖くてさみしかったよ


人はあんな風に一人で生まれて一人を生きて一人で死んでゆくんだと思った

みな、そうやって同じ場所へ帰るんだね




僕は一番愛おしい人をこの手で殺したんだ

その絶望を僕は死ぬまで越えられるはずないと思ったよ

でおさん、僕は愛を超えることができない

夢のように、何度も何度も光を灯したくて

灯そうとするけれど、灯ってはくれないんだ

僕はもう二度と光は灯せないと、今日の夢が

本当のこと見せてくれたようだった

だから太陽のようなでおさんにも

ほかのだれにも関わること許されないのに

でも寂しくて、甘えてしまう僕を許してほしい

ごめんなさい

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