僕にとって君がどんなものであるか
君のいない時に他と比べようやく解る
君に対して僕が無意識に抱いていたものが何か
恋慕にごまかしを食らわされていた
そんな愚かしいもののはずはなかった
君には何一つと求めるものはなかったと今更気付く
だから逢う必要も友になる必要もなかった
君は僕に対して何も感じはしなかっただろうけれど
僕は君のあの詩を読み終えた瞬間に
僕の心髄と君の心髄は融合してしまったんだ
不完全の僕で在る僕が
完全成る僕で在る君に
これ以上関わることがどれほどあざとくおこがましいことだったか
もう少しで完全なものを壊すところだった
なんて恐ろしいんだ
でも完全な僕を軽やかに翻す君が僕を忘れ去り
僕が二度と完全な僕を失うことはなんて哀しびであるだろう
僕は一生不完全な僕で在り
君は一生完全な僕で在り続ける
それは哀しびではなくなんて素晴らしい喜びであるだろう
君は僕を忘れゆくから、僕が君に対する想いが確かに愛であると僕の血が完結したのだった
でも依拠だ
完全なる自分を愛し尽くす故のどうしようのない本当の依拠だ
僕から近付くことも遠ざかることも絶対にできない君を知ってしまった瞬間に完成した深すぎてはっきりとした眩暈に近いなんて依拠だ
君に出逢った僕はその喜びに等しい哀しびを死ぬまで抱いてゆく