漆黒

君の眼が今も瞳孔を広がせて真っ黒にテラテラと照らついてるのかと思うと

僕はいてもたってもいられなかった

僕が初めて自分の瞳孔が開ききった真っ黒な目を鏡で見た時は酷く恐れた

死んだ人の目か人形の眼がそこにあったんだ

僕は死んだんだと思い布団に潜ってぶるぶると震えていた

漆黒の闇がそこにあった

これまで感じたことない死に最も近い重い重い孤独の中にいたよ

君もそんな孤独を何度も感じているんだろうか

体を刻々と蝕ませていきながら、また寂しそうな顔してるのだろうか

あの孤独から解放されたとき、普通のその感覚がやけに幸せに感じたものだよ

君もそれから解放されるとき、そんななんでもない日常を幸せに感じるのだろう

苦しみは毒ではないけれど、快楽は毒だ

苦しみこそが本当の恐ろしい中毒なんだ

だってあんなに苦しくてさびしくてたまらない世界にまた行きたい

そう思った日には、また手を伸ばし、この目をまた黒黒と染めるよ

内臓の悲鳴も無視して、目も潰しそこに融け込むのさ

みんなの涙も無視して、最高の孤独に浸り続けるのさ

怖いことから逃げるのはなにが必要かわかるかい?

それ以上の恐怖だよ

君はこのまま行くとそこに辿り着ける

辿り着いた日には僕もそこで待ってる

漆黒に散瞳どこまでも大きく広がせてね

漆黒の産道を君とゆくんだ、手を取り合い



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