鈍色の空の下

鈍色の空の下

子らが笑っている

その中に母を知らぬ子

泣いてはおらんか

ひとり膝を抱え泣く子探す

安心が欠けた子ひとり地を走る

暗くなっても走る

時折降る冷雨も感じず

帰る家をなくした子が夜のすきまに一人丸くなり眠る

夢の中の自分に憧れ

目が覚めるとじっとしながら
鈍色の中また走る

すべてをなくしたひとがすべてをてにいれる

そう誰かが呟いた

子は訳もわからずただ鈍色の空を遠い目で見つめた

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