詩人、中原中也

私が生まれて初めて共感した人物が中原中也という詩人だ
私がこれほどまでに親しみを感じる詩人は他にいない
中也を知ったのは私が中三の頃だが、今でも中也が生涯一番に愛した息子文也を
失った悲しみを思うと涙が出る

放蕩息子、親不孝者だった世間では、しかし中也は詩を書くことだけで
孝行息子となった
中也には詩が絶対必要であり、詩が中也を生かした
どんな悲しみにあっても詩を書くことができる
詩だけが悲しみを崇高なものへと変えてくれる
だから中也は悲しみのあまり詩を書かねば生きてはゆけなかった
それこそ本当に天から与えられた唯一の生きる為のものだった、それが詩だった

詩だけでいいと、そう思ってたんだ、文也が生まれるまでは
文也が生まれてから、詩は、中也のすべてだった詩は文也のものとなった
その文也が死んで、今までどんな喪失も詩で表すことで自己を支えてきた
あの中也が心を病ませて行った
その悲しみが想像もし難いものだから私は涙が出る
それでも中也は詩を書き、編集をして詩集を出すことを決めた
自分の為なんかでないだろう、文也と、それから母親の為だろう

あの詩がとくに好きとかないんだ、だって中也のすべてが好きなんだ
言葉にもないような、なんだかもう愛おしすぎてたまらない人間なんだ
死ぬまでずっと愛し続けるたった一人の詩人なんだ






私は今は女だが、是非いつか男になって中也と酒を交わし朝まで話しとおしたい
途中ベロンベロンになって屋台でぎんなんを買い二人で頬張りながら
ラアラアと大声で肩を組み唄いながら月下を歩きたい
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