光るみなも白い空 | 蛇の書

蛇の書

それは自分の眼球の骨の中をぐるぐると回っているような感覚に似て、その眼球の中の半分以上は泥水に浸っているんだけれども、苦しいからといっても回ることをやめられない、その血のにじんだような泥水が脳にいくと脳は徐々に光を失っていくのだが、そうなると首が垂れる、垂れていく首が見るのは腕である、その腕もまた垂れてゆく、しかしただ垂れるというよりもその腕、右腕のほう斜めにまっすぐになっていて、その先の手は地に置かれている、緊迫したその角度で腕は肉体を忘れ何になったか知らないけれども肉体を脱した清清しい思いを腕から感じる、そして声が降って来ました。

「吾(わ)はどうしたのだ」

朦朧としたこの汚物と泥の中に響く明朗な御声、それは光である、光である、もうすぐ虹が降りてくる。ここから脱することがまず先決ではありませんか。脳の中はもう血と泥と汚物で満水している、溢れてくる、溢れてくる、これを堰き止めるにはどうしたらいいか教えてください、溢れてくるのです。

「吾の底を見よ」

底ですか、底へ泳いで行ってみますと湧き出てくるわ、湧き出てくるわ、うじゃうじゃと、それら一体となって飲み込まれてしまった。蛇となった。蛇が右の眼球の穴から外へ出ていく。そして肩から右腕の斜面を降りていく、その時声が降り懸かる。

「吾よ、地に降りるなかれ」

蛇はそれを聞いた。するとその右腕はたちまち折れ谷を作った。蛇はその谷に落ち、喉を渇かせた。そして雨が降ることを願いました。しかし雨の代わりに腐った脳髄の血と肉が降り続いた。その血を飲み、肉を食い、蛇の漆黒の目球は赤く燃え盛るようになった。

「吾に祝福を与えよ」

蛇が眠りし時世は静かであった。世に炎が吹き荒れる頃、蛇は二つの眼球のことを思い出すのだった。そしてもう片方の目球、もう片方の左腕のことを思い涙を流した。荒れ狂う世は何年も肉片と汚物が飛び交っていた。それでも蛇は腐敗を食べながら浄い水を求め続けた。

「吾は何故水を飲まないのか」

蛇の上には汚れた血と肉が降るばかり。蛇はある日夢を見た、空は体温の色をしていた、蛇は幸せだった、蛇はその日から丸く眠ることを覚えた。やがて世に青い剣が降り添ぎ、蛇の躯はぶつ切りとなりて死した。左腕はその尾から順につまむとこれを北と南に、東と西に、頭を真ん中に置いた。そして肘を折り曲げると山を作った。左の目球はそれを良いと見た。

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