わたしたちはいつしか愛し合うようになった。
私は女で彼は男であった。
そして彼は私に一人の女性を紹介した。
私は彼にも彼女にも嫉妬や憎しみを感じることはなかった。
「こんなことは今まではなかったよ」私はそう言いながら、私と彼と彼女は同じ家で暮らすようになった。
彼はどこか女性的な柔らかさと優しさを持った男だったが、彼女は男性的な逞しく凛々しい精神を持っていた。
私はやがてそんな彼女に惹かれていった。
私たちの暮らす家は壮大な自然の中にあり、私たちは衣服を身に纏わなくなった。
そこは私たちのエデンであった。禁断の実を口にすることはもはやない。
私たちの家の側には輝く海が広がっている。
ある日私と彼女は岩浜で魚や貝を獲っていた。
すると光を反射させるペールターコイズの海面近くに岩の間を泳ぐ一匹の大きな竜がゆらゆらと現れた。
竜などとはなんと珍しい、しかも驚くほどに美しい鱗ごとに様々の青や緑にきらきらと光る宝石のように鮮やかな、また顔立ちはなんとも愛らしい竜である。
私は興奮してそれを彼女に知らせた。
それを聞いた彼女の心が躍るのを私は見て、竜の元へ走る彼女を追いかけた。
そして彼女は海に入ると竜を捕まえ岸辺に上げた。竜はとてもおとなしく暴れることもしなかった。
彼女の顔は獲物を仕留める狂猛な顔つきになって斧を手にしていた。
私は驚き叫んだ。やめて!そんなにも美しい竜じゃないか!
しかし彼女は素早く斧を竜の太い前足に振り下ろした。
足を切られ苦痛に叫ぶ竜の気持ちが伝わった。
これほどまでに美しく神々しい竜の悲しみもこの広い世界の中では小さなものに成り果てることにひどい悲しみをおぼえた。
いとおしき竜を殺した彼女を私は愛することができようか、続く。
と言いたい所だが、これは今日観た夢の話なので、続くかはわからない。
竜を殺されてとても悲しかった。将来、あの竜の背に乗り夜空で眠りたい。