小さく丸めたからだで音もなく泣いている
優しくて哀しい光が少しずつ注がれる君の中と僕の中に
エデンではなればなれにされた、あの温かい存在と
もうどこへも行けないの、あの人を悲しませてしまったから
傷つけてしまったから、海の底よりずっと深く、僕があの人をひとりにした
僕が君にできることは、そっと見守ること、そっと心の底で君が温かい場所へ行けるように願うこと
ううん、落とし入れよう、あの人を温かな場所へ、連れ込もう
冷たい場所へ上ろうとするあの人の足をつかみ、離してはいけない
あの人を困らせよう、傷つけよう、祈りだけで、冷たいほうへは行かせたくない
低くひどくよどんだ曇り空のエデンは美しい、君と僕が眠る場所、帰る場所
あの温かな世界から切り離された僕らが夢を見る、なんて美しい哀しい場所だったんだろう
追いつめる、あの存在もそう望んでいるはずだ、きっと、恐れは君を引き戻す
エデンに降り注ぐ雨は静かでそこにあった記憶をすべて消し去ってゆく
消え去ってゆくことを僕らに気付かせないまま、とても静かに
何かがこう言うだろう、もっともっと、と、僕の中にいる君をなだめよう
空はやがて暗くなってくる、真っ暗では何も見えないだろう、でも確かに向こうはエデンだ
とても寂しい場所、本来はそんな場所だったあれがエデンだ
向かうべき場所、僕らがまた戻りゆく場所
光の差さない樹に止まった鳥は小さく鳴いている
エデンを忘れられない、そんなエデンへあの人を一人にはおいとけない
僕は向かう準備を整えてゆく、君の眠る声だけを連れてゆく
小さな泉の中をのぞきこむとあの人が愛した僕は哀しい顔で微笑んだ
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