幻想と記憶

2004年のたぶんこの辺りだった。
お父さんの体が火葬された日は。
たぶん、三日か、四日か、五日、それくらいの日だった。覚えてないんだ。多分姉兄の誰も覚えていない、そんな日のことは。
だからかなと思ったんだ、あんな夢を見たのは。
私を叱っていたのかもしれないし、ただの脳が見せた虚構だったかもしれない。

夢は忘れてしまってもいいけれど、記憶はどうしても忘れたくないんだよ、幻想だとは思ってないんだよ、幻想じゃないんだよ。
あなたの幻想が、私なのかもしれない。けれど私の過去は、私の幻想ではない。

過去を持たないかもしれないあなたの過去に私は、そこにいます。

私は、あなたを失う時がない。
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