シルバーバーチとは一体何者なのか、それをわたしは述べるのを忘れていた。
シルバーバーチとは、1920年にイギリスのみじめな貧民層が軒を並べて生活するロンドン東部地区に住むイギリス人青年モーリス・バーバネル(Maurice Barbanell、1902-1981、当時18歳)がある社交クラブの会合でスピリチュアリズムの講演の際に、彼を霊媒として語り、以後60年間に渡ってこの世界の真理の啓示を述べ続けたとされる霊のことである。
シルバーバーチの語る言葉とは、一つの魂のアイディンティティ(人格)から発せられるのではなく、これは自分の教えではなく、自分の所属界よりさらに高い界層から送られたものを自分が中継しているに過ぎないと語っている。
シルバーバーチという霊について分かっていることは、三千年前に地上で生活したことがあるということ、それが地上時代にインディアンだった別の霊を霊界側の霊媒として使用し、そのインディアンの立場で通信を送ってきたということだけである。
つまり高い次元の界層から直接この一番低い次元とされている地上への霊媒が不可能であるために、数々の下にある界層を伝ってようやく送り込まれた世界の摂理をそれを地上へ届けるように使命を受けてシルバーバーチという霊は私たちに語り継いだということである。
シルバーバーチの語った言葉は一人の魂から発せられた訳でなく、この地上のものすごい上にある世界に住むたくさんの聖霊たちから送られてきた聖なる言葉なのである。
英語で語られたその言葉を近藤千雄(翻訳家、作家、スピリチュアリズム研究家)が日本語訳した本を読むことが出来る。
そしてそのすべてが訳されて出版されている数少ない国の中の日本に我々は住んでいる。
シルバーバーチは旧約聖書にある神の行い、復讐に燃え人々を滅ぼすような神が間違いであることに気付きなさいと言い、しかし「ナザレのイエス」と呼ばれた人物を通して顕現した霊は、二千年前に開始した使命を成就すべく今なお地上界へ働きかけていると述べる。イエスのその霊格はその後飛躍的に進化を遂げ、地上時代とは比較にならないほど意識の次元が高くなっていると述べるのである。
つまり、ということは、シルバーバーチの教えは成長したイエスの霊からの啓示であると思いたい人もいるだろう。
しかしそうやってまた一人の人格者のようなものを神として求めるのは間違いであると、それをイエス自信が言っているのと同じなのである。何故なら、神は一つの人格ではないからである。神は世界の果てにあるその一番高い次元にある一つの霊ではないからである。果ては存在してないのである。ひとつの神が存在するということは、そこに果てが在るということである。
違うんだ。
何故なら、すべてのものがすべてのものから吸収して進化し続ける存在だからである。
存在するすべてのものが、永久に留まることはなく変化し続けていく世界が、まさに私たちの世界だからである。
それはあなたの世界である。
それはわたしの世界である。
わたしたちの世界が荒廃するか、飛翔するか、それはわたしたちの意識に係っている。