僕はあなたがわからない
あなたはまるでノアの箱舟のようなとてつもない大きな変化を僕に提示して去って行った
僕はあなたに向かって言った
どうして僕から去ったのです?
僕はあなたを引き留めはしなかった
引き留める手段を思い着かなかったんだ
あなたは太陽や月のようにいつも僕の傍にいて、僕を見ているのだと思っていたのに
あなたは何も知らないような目をするのですね
あの日あなたの涙を目にして僕は生まれて初めてあなたを憎んだ
あの涙は今まであなたが流して来た悲しみから溢れたものでなかった
あなたは喜びに溢れていた
それを見た僕は震え上がるほどの恐れを感じた
震える手であなたに縋り付きやめてくれと懇願した
するとあなたは見たことのない優しい微笑みを一瞬僕に交わしたのだ
僕はあの時愛しさのあまり殺意を覚えた
そんな絶望に打ちひしがれた僕の腕をするりと抜けてあなたは去って行った
戻っておいで、もう戻ってきていいんだよ、この世もあの世も嫌だと言うのなら僕が連れてくよ
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