機械仕掛けの神  

“機械仕掛けの神とは古代ギリシアの演劇において、劇の内容が錯綜してもつれた糸のように解決困難な局面に陥った時、いきなり絶対的な力を持つ神が現れ、混乱した状況に解決を下して物語を収束させるという手法”





だから何の為におまえがここにいるのかって聞いているんだ


どうしたのですか?落ち着きましょう。今お茶を入れますね


おまえが本当に言いたいことは何なのか知っているんだ私は。おまえはいつもそうやって私を救うように見せて心の底では私がどうすれば救われないかを考え何かの計画を立てているのだろう


貴方は僕が考えていることを知りたいのですか?

知りたいとも


では、僕が貴方の何であるのか考えてください


おまえが私の何なのかだって?そんなことがわかるか!おまえは最初から私に付き纏い、まるで影のように私から離れない。考えてわかることじゃないだろう。しかしおまえの魂胆はわかっている。この前だってそうだ、おまえは私が苦しんでいるところを見てほくそ笑んでいたではないか!


ええ、そうですね、僕はいつも正直なのです


ついに化けの皮を剥がしたな、出て行け!おまえなどいなくとも私は生きてゆけるのだ


出て行くことはしませんよ。僕は貴方が何よりも愛おしいですから、それに僕がいなくなれば貴方の行き先は見えている


それはどんな行き先なのだ


僕がいないことに耐え切れなくなり必ず僕をまた側に呼ぶはずです


そんなことはただのおまえの妄想に過ぎない、私はいい加減疲れたんだ、解放してくれないか


解放…僕は貴方を縛った覚えはないですよ、僕も貴方から縛られていません


じゃあ何故おまえのことを考えるとこんなに苦しいのだ


苦しい?僕はこんなに嬉しいのに貴方は苦しいのですね、おや、お腹が空いたのですね、今すぐ作りますね


待て、まだ話が終わっていない


貴方は今酷く疲れています、僕は貴方の為になりたいのです、貴方にとって僕はとても必要なのです


(溜め息)何故なのだろう、何故苦しいのに心地良いのだろう、あいつは一体何者なんだろか











さあ!できましたよ、食べましょう……泣いているのですか?

関連記事