「傷つくかもしれんけど、俺、あんまり生きてても楽しくないんよね」
だからこずえちゃんに出会ったと思うねんな。こずえちゃんはどう?生きてるの楽しい?
「わたしは、楽しいってかそれ以前に、苦しいな」
だって働くことさえできんし、チャット部屋でも「誰の役にも立ってない人間」て言われたし。
「そうか、ほな俺がゆうたるわ、誰の役にも立たんかってええねん」
人間なんて誰かの役に立とうと思って働いてないで、みんな自分のことしか考えてへんねん。
僕はそう言ってもらえて悲しいような、勇気をもらったような気持ちになった。
そしてそう言った男に「役立たず」にされて捨てられた。
復讐してやる。地獄の果てまで下りてゆけ。阿呆が、毎晩金縛りで慄け、盆暗が、十字架を持って俺に会いに来い、バカたれ。
そういったことを言うのも、やるのも僕はもう気力もなくて、この無言の恐ろしさ、思い知れ、と密かに復讐してるんだってことを気づいた僕は自分を呪い始めた。
面白いか、面白くないか、で生きていったら気が狂うと思う、やめたほうがいい。
人が一生懸命に生きてたらね、何でも面白いよ。
考えると、内臓が痛むんだ。
世の中の善意によって殺された人々を思うんだ。
つまり君の世界は、ある仮定の中に在って、悪夢におびえて暮らすことをやめることが君にできるのかってこと、なんだよ。