ヒッツキムシ
「あ、もしもし?おたくキークルサンストですか?あのですね、直裁に申しますけどね、しょっぱすぎる、はい、商品名は塩振り海苔、焼鮭、はい、しょっぱすぎる、嫌味かと思われてもしかたない、これはしかたない、これはだってしょっぱすぎる、食べながら何考えとんねん、という言葉が20回近くは思ったかもしれない、そう、いやほんまに、大げさやのうてね、それくらいしょっぱすぎる、意味わからん、という言葉が15回以上は頭をよぎった、それくらいしょっぱすぎる、いやいやいや、冗談じゃなく、実際しょっぱすぎる、あほか、という言葉が18回は思ったかもしれない、これは何か消費者を胃がんにしようという何かの計画ですか、皮肉じゃなくてね、ほんまにしょっぱいんですわ、眠れなくてね、おにぎり食うたんですわ、そしたらこのしょっぱさでしょ、目ェ覚めて、よけい目ェ覚めてもうてね、いやほんまです、ほんまやゆうとるやろ、え?クレーム係ここちゃう?じゃかぁしいわ、黙って聞け、これいくらやったっけ、105円か125円か知らんけども、105円で胃がんになったら大損ですわ、手術台、入院肥大、治療肥大と肥大ですわ、費用がね、え?だから肥大するっちゅとんねん、金かかるっちゅうてんの、わかるでしょ?しょっぱすぎてね、腹が、胃がまだ痛い、ぼくちゃんまだ痛いよ、もうこれは即刻、即すぐ、売るのを禁止してください、しょっぱくって、美味しくないから、マジです、本気です、ただ眠れなくて憂さ晴らししとるだって?じゃっかあしいわい、ちゃうちゅうてんねん、腹が痛いの、ほんま、糞が出てないから?あほ、ちゃうわ、しょっぱすぎて胃ィ荒れてんのぉ、胃がね、痛くなるほどのしょっぱさ、おたくなめとんか、金返せなんてわしゆうてない、この、なんでこんなしょっぱいのんを作ったか、ただそれだけを納得の行く論理でお答えくださるまでですね、眠れないと思って、ええ、さみしいから?何抜かすか、ばかたれ、まあ野沢菜は美味いと思ったけどね、人口甘味料入っててドンビキですわ、もうちょっと消費者を愛してくれてもええんちゃいますかね、悲しい、悲しすぎる、これじゃああんまりにも、絶対に、二度と買わない、誰もが、誰もが一度でもう十分のしょっぱさがここにあります、塩分がここに詰まってます、ほんまです、わし、うそ、いわない、元インディアンじゃないですよ、元ボヘミアンです、はい、とにかく、もう10日分くらいの塩分を摂ったな、だから10日は艶聞なしの飯を食います、10日分の食料費を送ってください、冗談ですよ、喉がおかげで10日間渇きっぱなしだと思う、だから10日分の十六茶を送ってくれたらもうわしは、思い残すことなく死ねる、なんてね、まあ、あなたも大変ですけど、わたしは馬鹿です、あなたが馬鹿ならわたしは大変です、もちろん、この情熱を誰にほかに届けられましょうね、あなたしか、あなたしか、どこかでお会いしましたか、あなたはね、立派ですよ、ぼくなんかより、だから聞いてほしかった、誰よりも、あなたに、あなたに聞いてほしかった、このしょっぱい想い、ありったけのしょっぱさを君に、あげたい、フォーエヴァー、営塩、塩で営むあなたに乾杯、君の涙、それは、ありがとう、しょっぱさを、ありがとう、心から、胃から、足の裸足の冷え性の冷たさを込めて送るよエンド、塩怒、冷やし中華始めましたという看板の如く、ぼくは、焼鮭食いました、みたいな、その濃くなる白、コクハク、ですか、まあ去年の7月から魚介類食いまくってるんです、誓いって僕の誓いって死んでるん、死んでんのか、絶望が眩しくて眠れないよヒッツキムシ。ム」