肉串ろ
肉が食いたい。できれば人肉が食いたい。僕には最早魚以外の肉は人肉と同じようにしか映らなくなったが、僕はできればいたいけな動物が殺されてほしくはない。僕はどうしても人肉が食いたい。いや、喰ってやりたい。家畜のように拷問にかけてから生きているうちに解体して殺して喰ってやりたい。人を殺して内臓を引き摺り出してモツ煮込みを作って食べたい。日本酒でくっとやりたいな。ホルモン焼きもいいけどな。とにかく人が食いたくてたまらない。動物を食うよりずっとマシだ。人間は人間を喰うべきだ。人間を食料とするべきだ。そのほうがずっと正気だ。人間はどこまで堕落してゆくのか。俺は間違っていた。人肉を喰うことよりも悪なのは家畜を他人に殺させて喰うことだ。仲間を食うことより悪いのは動物達の痛みと苦しみから目を背けて喰い続けることだ。肉が喰いたい。できれば人肉が。今日は自分の左腕を骨付きカルビのようにして焼いて食った。美味かった。んまかった。だからこれも右手だけで打ってる。不便だ。明日は左の目玉をくり抜いてアツアツのご飯の上に乗っけて卵がけご飯のようにして食おうと思ってる。あさっては両耳を切り取って穴の中に冷凍しておいた左手の部分をミンチ状にしたのとキャベツのみじん切りの具を詰めて餃子ふうに焼いて食おう。タレはラー油とポン酢だ。俺は酢が効いてるのが好きなので酢をちょっと垂らすけどね。ま、ゆうたら酢醤油ですか?しあさってからは片足ずつ約4センチ程の輪切りにしてビーフシチューとか、いや、人肉シチューとかにしていろいろな料理にして喰っていこうかなと思ってる。でも右足は串刺しで食うたろ。そのあとは腹を開いて盲腸を引き摺り出してモツ煮込み、またか、かぶるなぁ、どんな料理がええんやろ、その次は腎臓と肝臓を半分ずつ切り取ってレバニラ炒めに決定だけどな。久しぶりに喰うから楽しみやわ。久しぶりの肉、約二年弱ぶりの肉やわ。美味いやろナ。わくわくしてきた。って今日腕食ったんやった、忘れてたわ、ひょひょひょひょひょ、ぽろろろろろ。レバニラ炒めって汁が出る前に高熱で炒めるのが美味いよね。高温に熱した鉄のフライパンで俺の内臓をジャッてな。ジャッてな。ジャッ、うふっ。うぷぷぷっ。俺の腎臓と肝臓を食ったら俺の腎臓と肝臓はたぶん元気になるだろう。実に健康的だ。その次は頭蓋を半分上部切り取って頭蓋の器で脳味噌ラーメンなんて洒落てるな、よし、それでいったろ。腹の肉はサーロインステーキにして喰おう。で最後はやっぱし心臓を薄くスライスしてレバ刺しふうに生で食うのが乙かな。己よ、乙。そう言って俺は死に腐った。闇の中を浮遊する幽体となって俺は思った。大腸はやっぱりもつカレーにして食えばよかった、しまった。ちょっと匂いと味がアレやったけどカレーの大量のスパイスで誤魔化せたかもしれなかった。もう一度生まれ変われるというならば、今度こそ、是非、俺の大腸はもつカレーにして喰いたい。