自分の汗が染み付いたの人に売り渡すなんてやだね、俺の汗は俺のもんだし、俺の匂いは俺だけのものだ、誰にも売りたくない、俺が売れるのは言葉だけだ、俺の唯一の商売道具、買ってくれませんか、そこのお嬢さん、え?なにがキモいじゃ呆け木瓜の花をあなたにあげるよ美しいその赤い莟を殺してあげよう俺は俺のものだし俺は俺の物、死んだってその心は開かない、開くときはとうとう来なかった、俺は俺に汚損されていないこの心だけを灰にしよう、それ以外は灰になる資格も価値もないからおまえは俺が食べて糞にしてやろう、俺は俺の体を食いたいこの肉は喰うしかないだろうもはや、骨もミキサーにかけてふりかけご飯にして喰ってしまおうそしたらなんも残らない残らないさ残らないさおまえなんて死すら残らない俺が残させないよおまえは糞以下だ、とにかくおまえは早く骨を砕く機械を買え球形間接人形なんて買わなくていいからさ球形も球体も変わらんだろいちいち突っ込むな、とにかくおまえはおまえの肉と骨を破砕する道具を楽天で早く買えポイントつくからな、そしておれのこの心を興味もない人間達に売り捌こう、どこまでも俺に価値がないと知るために、酷い窶れ方をした人が美しかった、そうだ俺はいつの日か言おう、愛する人に、どうかこの俺を食ってくれ、と、遺言を書いておこう、僕の骨は粉にして是非梅とシーチキンで混ぜて食ってくれ、と、名付けて薄汚い雪の上に散らばった肉片レシピ、是負、是非、クックパッドに載せてくれ、俺の言い残すことはそれだけだ、可愛い遺言でしょ、やるでしょ俺、うきうき、死んだらタニシの貝殻になるのも悪くないかと一瞬魔が刺舌西、ロボタニシにな、ロボナコシ、ロボ名越、ホムンクルスをまた読み返してる、これはすべての人間が読むべきだ愛してる、小説を読む気力のない俺に与えられた希望は漫画だった、明日晴れるかな、晴れたって家にいるけどな、日光がうっとおしい、日光猿軍団、箕面の猿、今頃どうしてるやろな、箕面は俺の父の故郷なんだ、いいところだよ、山の中で眠ってみたい、テントも張らずに、土とその上に生えた草の上夜露にぬれながら記憶の向こうへ行ってみたい、なにも思い出せないこんな暮らしの中で、人工物で固めた油みたいな生活様式、もう二度と会えないなら価値が高まるのか?なんで何処から来たのかもわからないのに何処へ向うのかを気にするの?おまえはただただ生かされてるわけじゃないだろう、自分の意志があるんだから、どうなりたいんだおまえ、おい、おまえ、そっと俺の胎動を通して、聴こえてくるようだ、なんでだかとてつもなく懐かしい音だ、記号の海も進化するのだろうか、あらゆる記号の波を太陽も月もただただじっと上から見続けているわけだ、文句一つ言わずに、けな気だねぇ、おまえの心だって元はそうなんだろう、もうじき、………。
David Sylvian - The Devil's Own