悪阻
死んだ魚の目をしても人は生きていけるからねぇ、そういう意味では人はタフなんだろねぇ、死にぞこない、死に損なったわけでしょあなたも僕も、じゃあこれからどう生きていこうか、希望で溢れ返ってるのも希望が何一つないのも特に違わないんだよねぇ、で、君はどう生きていくの?教えて欲しいなぁ、君の腐りきった正しい生き方を、死ぬより価値のない生き方をね、生はいつも死より意味がない、だから生きてるんじゃないかそんなことも君わからなかったの、馬鹿だね、馬鹿だよ、おまえ、そんなことも今までわかんなかったの、俺の生きる意味、オイ見つけたぜ、死ぬより価値も意味も意義もないからだったぜ、だから必死に生きてきたんだ、必死にその無意味を俺はやりたくって、いつも、死ぬわけにいかなかったもんなぁ、死は意味がありすぎて俺は怖いんだよ、こええの、死が怖いんだよ、俺は、俺に意味と価値がつくのがこええんだよ、いつか言ってた事と魔逆だけどよ魔逆オイ俺のソウル変換おかしいぜまいいや、ああそうかだから俺にとってほんとに死ぬことってこっちだったわけか、ふーん面白れえなぁ、俺はどうしたって駄目なほうを選んできたわけか、ほうっなるほどなあっ、駄目なほう駄目なほうを無意識的にやってきたのかね、だから逃げることしか考えてこなかった、なんなのかわからないものから、わかることが怖くてね、わかっちまうことが恐ろしくて、そうだここまで来たんじゃないか、でもちっとも距離が狭まらないわけだなぁ、ああすぐそこ、目の前、後ろか、いや真横、いるんだよ、そいつが、俺をじっと見てんの、今も、こええね、俺をどうにかしたがってんだ目に見えないそいつが、気持ちわりぃな、俺が何処にいても、そいつ俺のことずっと見てんの、よ、やべぇでしょ、逃げられない、そいつからは、俺に何かを期待しやがってる、そのそいつ、あ!ウーフォオー、っつって天井を指差しても俺をじっと見てる、俺から一瞬も目を離さないようだな、だからもう俺諦めた、早いの俺、いいぜ俺のこと見ててよ、そう伝えておいたね、もう、死んで溜まるか、だろ、そんな綺麗なとこいっちまって俺は何すりゃいいんだよ、えぇ?おりゃいったいどう生きりゃいいってんだよ、なあ、なあおい、俺、俺を見捨てないでくれよ、なあ、俺は行きたくねえんだよ、俺の本音だ、し、死にたくねえよ、ただ俺はこの心を無意味にしたいだけなの、なぁわかる、ねぇおまえにわかる、死にたくねぇの、俺が欲しいの、性器と臍と耳と目と口から手が出てそれを欲しがってる、求めてる、のは、俺は死じゃねぇの、ちがう、違った、死は、だって、美しいだろ、俺、行けないよ、人を、殺して、人の肉、喰ったら、もう、動物の肉喰ってる人、見下さないで済むよね?俺、人を殺す、死肉、食いたいよ、僕、人間が、食べたいよ、ママ、ママ?ママじゃないの、僕のこと見てるの、ちがうの、し、死肉、人間の、死体、食べたい、ママ、つわり起こしてよ、吐いてよ、ここは死より怖いんだって、ママ、僕を静かにさせてよ僕を殺すように産んでよママ、僕だけを愛してよ、拷問、だよね、ママ、愛ってさ、今まだ感じられないなぁママの愛情が、苦しいよ、僕を愛してないのママ、僕の愛、これほどなの、どうしたらもっと苦しめるのママ、どこに、いるの?ママ、僕の、ママ、何故僕をもっと苦しめてくれないの、殺してよ、ママ、愛してよ、ママ、マ…マ。