もう本当に駄目だってなったときにはさ富士の樹海に行くだろ?
真夜中に行くだろ?
すっとさ、黒い奴がさ、近づいてくんだよ。んだよ。
そいつな、水っぽいんだけど、枯れた木っぽくもあってな。
なんかよくわかんないんだよ。んだよ。
でも水っぽい気が、不思議で、ここは山の奥地だから。
川や湖が側になくて、怖く感じながら着いていきたくなった。
連れていかれそうだった、着いていきたかった。きたかった。
それ死んだ人じゃなかった、死んだ人じゃなかった。
着いていきたかった、どうしても、逆の方、会えない場所。
悲しくて涙が止まらなくても、着いていきたかった。
愛しい人にもう会えない場所。
もう本当に駄目だと思ったら。