昨年夏季頃の詩 一、「夢を夢の中で」

赤い兎と馬か、美しいな

漆黒の闇の中にいるだらうか

其の肉を切った血のやうな

紅く、それはまだ生きているのだ

いくら交わしたとて叶わない

無常を楽しんで生きているよう

透明なその瞳に吸い込まれゆく

死んだ僕の手をひき、連れ去る君は

青く光る、水の上を走りゆく

真っ黒な影の思想さえ読める

こんな夜に、僕の秘密を

君の耳にそっと囁いた

君は僕の中で美しすぎた

夢を夢の中だけで終わらせた

ぼやけた夜のぼやけた宇宙で

僕はほころび、君は縺れ出し

行方を追っていたよ、悲しみさえ喜びと化す

幸せは毒なんだよ、どこまでも

暗闇に沈む、月の影が僕の目の中に入る

何もかもが嘘で、僕は本当を知らない

僕を救ってほしい、この世界を救ってほしい

この世界すべて救わなくちゃ意味がないんだよ

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